当直開け

 8月14日(日曜日)、快晴

 いやー、やっと1週間が終わった???

 昨日、土曜日。昼間はオンコール、夜は当直。

 お盆だからだろうか・・・、救急外来は急性アル中だらけ・・・。

 それ以外も、なぜこれで???、今この深夜に???、え?これで救急車呼んだのかよ!!!ってのが8割。

 明日は終戦記念日

 第二次世界大戦当時、祖国のため、家族の為に戦ったご先祖様方がこの有様を見たら。

 激怒して憤死するかもしれないな。

 まあ、今は国自体もリスク管理に十分な対策をとる事を忘れ、国民は自分の体は、健康は自分で守ろうって気持ちがほとんどないもんな。

 え? ある?

 ないんだよ・・・・・、話の次元が違うんだよね、次元が。

 病気になったときの為に、毎月十数万円の医療保険を買えますか?

 病気になったときの医療費の為に、数百万から数千万円の貯金をしていますか?

 そう、そんな必要は、ほとんどないんだよね、今の日本って。

 救急外来を受診しても数百円から数千円で、数万円もしないでしょ。

 入院して手術を受けても数万円。高額療養費制度なんてありがたいものがあってね・・・。

 もしもだよ。急性アルコール中毒で救急搬送されて治療を受けたら自己負担が20万円だったらどうする? かなりの自制心が働いて急性アル中の患者は激減するよね。その反対の事が、今の日本の医療に言えるんだよ。


 さて先日、MRさん(製薬会社の人)と話をする機会があって、抗がん剤の話をしていた。

 その会社の抗がん剤は非常に良く効く(良く効くと言っても治る訳ではなくて、確かな延命効果がある)。でも、非常に高額。

 私(以下、A):でもさ、高いよね。その薬。

 製薬会社の方(以下、MR): ええ・・・、高いです。でも、大丈夫ですよ! 高額療養費制度があって、最初の月は自己負担9万円ぐらいまでです! その翌月はさらに安くなります!

 A:うん、そりゃ知ってるさ。だったらさ、私達が頑張って片っ端から、延命を目的にその超高額の抗がん剤を使いまくったら・・・・・、だれが払うの?

 MR:はい、国です。

 A:国ってね、税金でしょ。私達がその高額の抗がん剤を使いまくったら、患者は数ヶ月、延命出来る。これってとても良い話だけど、全体で考えたら日本国民や日本政府の首を絞めてるってことになるんじゃないの? それに、使ったからって病院の収益はそんなに変わらないよね? 誰が得するの? 患者? 製薬会社???

 MR:・・・・・・・・、とても興味深い視点からのお考えですね・・・。


 まあ、そんな事を言いつつも、抗がん剤は使いますけどね。納税者の皆さんありがとう。って、私も納税者か・・・。

 これが、日本の医療は社会主義的だ!!!と私が言い続けている理由の一つ。解せないのは、あくまで製薬会社は資本主義に基づいて運営されているわけで・・・。

 さらに、それより前に、他の製薬会社の抗がん剤の説明を受けてびっくりした。

 その抗がん剤はまだその癌には保険適応になっていなくて・・・・・・・。

 多分、うちの病院で使えば、病院の持ち出しになる・・・。

 そう、使えば使うほど、病院の赤字(ちなみに、うちの病院は黒字である)に貢献する事になる・・・。でも、製薬会社は儲かるわけだ・・・。

 さすがの私も、軽くキレれた。”医者の善意を食い物にしようってのが製薬会社のやり方かい?” ってね。

 さあ、そんなおかしな所だらけの日本の医療。

 私は製薬会社が”異常”だとは、実は全く思っていない。異常なのは今の日本の医療制度であり、日本国民の”常識”なんだよ。

 誰かがこうして日本国民に情報発信しなければ、誰も気がつく事が無く、誰もありがたみを感じず、そして誰かが得をして、誰かが苦しむ。って思ってブログを続けています。