登りきったぞ!

 1月4日、晴れ時々曇り、時々雪

 さて、通常業務の始まり。

 朝礼があり、院長の訓示があった。

 話の中心は ”経営” である・・・。

 ちなみにうちの病院は個人病院ではない・・・。

 我々がこれだけ働いていても赤字なんだそうな・・・。

 まあ当然だよな。診療報酬が少なすぎてこの日本ではほとんどの病院が赤字なんだから・・・。

 黒字が出るのはかなりの規模の大病院(500床以上の病床数が非常に多い病院)だけなんだから。


 そして、さらなる獅子奮迅の働きを期待するってことなんだが・・・。

 訓示としては素晴らしい物だった。

 だけど、アメリカ帰りの私はいつもこう思う。

 ”糸を出し切ってはいけない。医療従事者というのは普段の業務で頑張りすぎてはいけない。”

 私は釣りが好きで、学生時代はバスフィッシングにのめり込んでいたし最近は沖釣りもする。

 そう、anglerは絶対に糸を出し切って釣りはしない!!!

 大物をフッキングした結果、糸を出し切ってしまう事はあっても普段は絶対に糸を出し切るような馬鹿なまねはしない。

 その理由はあえて説明するまでもないだろう。


 今日も私のもとについている研修医に救急外来での業務の合間にこう言った。

 ”頑張りすぎるな。コメディカルの仕事を君がするんじゃない。いいか、救急外来が激務で看護師さんや助手さんが忙しく働いている。そんな時に君が手伝うとどうなる? 確かにその場では感謝されるだろう。君も満足するかもしれない。しかし、いつの間にかそれが当たり前になり、感謝される事は無くなり、むしろ手伝わないと苦情を言われるはめになる。そして、君の職域を超えた献身的な勤務が当然になって組織として本来必要な人員配置を行わなくなる。そうなると、これから来る研修医のみならず救急外来の看護師さんの首を絞める事につながるんだ。”

 私は助け合う精神ってのはとても大切だと思う。しかし、場合によっては助け合った結果、お互いの首を絞める事につながる。それが今の日本の医療現場だと思っている。

 日本の医者の年収が副部長クラスで1000万円ぐらい(数週間という充実した ”ほんとうの休暇 = vacation” を取る事が出来るアメリカの外科医の年収は3000万円から5000万円である)だってのは良く報道されている。しかし、その内容に関しては日本国民はあまり知らない。時間外労働をしまくってやっと年収が1000万円を超えるのだ・・・。もしも時間外労働をしなかったら・・・(そんな事はあり得ないが)、年収400万円程度にしかならない・・・。単純計算してアメリカの外科医の1割程度の給料にしかならないのだ。



 さて、タイトルの件に関して。

 正月は車で通勤したので、今日が年始初の自転車通勤。

 仕事を終えてサイクルジャケットを着込んで出発。外気温5℃。

 これまでの経験をふまえてペース配分を行う。

 前半は緩やかな上り下りが続く道。

 交通量はそれなりに多いが、ここ神戸の一般車やトラックのドライバーは私との距離を十分に置いて追い越してくれる。(タクシーの運転手が乱暴な追い越し(私との距離が20cmぐらいしかない)をして身の危険を感じる事が何度かあったが・・・)


 そして後半のヒルクライムに突入。

 最後に待ち受ける激坂に対応するために極力、脚を温存。

 そして激坂に。

 ダンシングは全くなし、シッティングでハンドルを力一杯引きつけて渾身の力を込めてペダリングする(当然だがビンディングペダルを使用している)。

 もう、息は上がり、心拍数も限界近い。

 ハンドルを引くと、前輪が浮き上がる。

 半分ぐらい激坂を登ったとき、”これはいける” と感じる。

 心が耐えうる限界を超えたとしてもあきらめずに登り続ける覚悟をする。

 そう、意外かもしれないが身体的限界は精神的限界をたいてい上回る。

 これは空手道部時代に確信した事である。

 あとはがむしゃら。

 坂を登りきる頃にはふらふらで、まっすぐ進めなくなっていた。

 そして登りきった!!!


 ヒルクライム 最高!!!

 坂馬鹿 万歳!!!


 さて、今はこんな感じで登れただけで盛り上がっていますが、今後はタイム短縮をねらってトレーニングとペース配分を行っていきます。

 トレーニングとはいっても自転車通勤の事なんだけどね・・・。



 ただ、やっぱりコンパクトクランクを装備したフルカーボンバイクが欲しい・・・。

 またコツコツ働いてお金を貯めて買おうかな。