平和ボケ

 7月1日、雨

 日曜日。

 休みのはずだよな・・・。

 朝、出勤したら・・・、なんだかんだあって先ほど帰宅した・・・。


 やっぱりな・・・、平和ぼけしているよ。この国の国民は。

 数ヶ月前の話。

 とある症状を訴え救急外来を受診した人がいた。

 急いで検査をしてみると、緊急手術をしなければ絶対に死んでしまう状態だった。

 なので、緊急手術を受けることを強く勧めた。

 しかし、こう言われた。”嫌です。だってお金がかかるんでしょ。2万ですか?3万ですか? そんなお金払えません”

 ぐっとこらえて、緊急手術の必要性を分かりやすく説明したらこう言われた。

 ”なんだかんだ言って!!! 先生はただ手術がしたいだけなんでしょ!!!”

 ・・・・・。

 これはフィクションではない。

 同じ状態でアメリカで医療を受けたら、800~1500万円の請求がくるであろう。

 これが日本だったら数万円から数十万円である。

 しかも、こちらの話を理解しようともせず・・・、あの一言。


 何が言いたいかお分かりだろうか?

 こちらが致死的な状態であるといくら説明しても理解出来ない。

 さらに、自分の命を救ってくれる医療に2,3万円も払いたく無い。


 まあ、これは極めて極端な患者の一例ではあるが、これに似たような話はざらにある。

 私についてくれている研修医とこの一例について話をした。

 研修医 ”先生、仕方ないですよ。これ(激安の日本の医療)が当たり前って環境で暮らしてますからね、日本人は。手厚い医療を無償で受けられて当然と思っている人も沢山いますよ”

 そう、平和ぼけした国民には分からんのだよ。

 休日夜間を問わず、真面目に働き、自己犠牲、家族を犠牲にして働いているこの日本の医師達の献身を愚弄するような意見は、絶対に許容出来ません。

 まあ、日本の医師全員がストライキでもしないと分かってもらえないんだろうけどな。