上げるのか? 下げるのか? どっちだ!
11月29日、晴れ
今週も気持ちよくジテ通。
出勤時の外気温は4℃、帰宅時は5℃。
4℃で激坂を下ると耳が痛い、鼻水が出る・・・。
それで職場に着くと室温28℃!!!!!
私の外来の診察室も28℃!!!
病棟のカンファレンスルーム29℃!!!
病室27-28℃!!!
一気にのぼせて汗が出る・・・・・。
光熱費垂れ流しだな・・・。
以前、この異常に暑い室温を下げてはどうかと事務に伝えたら、こう言われた。
”これ以上下げたら患者さんから寒いという苦情が増えるんです・・・”
ほんまでっか? とへたくそな関西弁でつっこみたくなった。
先日なんか、患者の家族からこう言われたのだが。
”なんでこの病院はこんなに暑いんですか??? 私、暑がりなんですけどね、それにしても暑いですよ。”
さて、タイトルの件。
当然だが、上記のエアコンの設定温度の件ではない。
「診療報酬」の件である。
まずこちらの記事
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2013.11.28 08:08 (1/2ページ)[消費税率引き上げ]
政府が、国民の窓口負担などで賄われる診療報酬を平成26年度改定で6年ぶりに引き下げる方針を固めたことが27日、分かった。診療報酬の「薬価部分」を減額し、医師の技術料となる「本体部分」を調整して実現する。複数の政府・与党幹部が明らかにした。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)も引き下げを要請する見通しで、プラス改定を求める日本医師会や自民党関係議員らが反発を強めそうだ。 政府は、来年4月から消費税率が8%に引き上げられるのに加え、27年10月は10%への再引き上げが予定されていることから、「プラス改定で窓口の支払いや保険料が増額されれば、国民にとってダブルの負担となり、理解は得られない」(高官)とし、マイナス改定の方向で調整に入った。
また、厚生労働省の「医療経済実態調査」で、民間病院の24年度の平均収支は7621万円の黒字(前年度比215万円増)、勤務医の平均収入も1590万円(同43万円増)となったことが判明。政府は、民間病院の経営状況が良好にもかかわらず、新たな国民負担を強いるのは難しいとも判断。今後、与党や厚労、財務両省との折衝を加速化させ、年末の26年度予算編成で具体的な改定率のマイナス幅を決定する。
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この記事に先立ち、厚生労働省がこの発表をしている。
299ページもある素晴らしいデータである。
さて、勤務医の平均収入が1590万円(前年度比43万円増)ってどこに記載してるんだろうね。
だってさ、年収1590万円ってのを見てびっくりしたんだもん。
だってさ、俺、そんな凄い額もらってないんだもん・・・・・。
あの・・・、俺、副部長なんだけど・・・。
あの・・・、うちってまさかブラック企業・・・。
さて、正気を取り戻して話を続けよう。
第19回医療経済実態調査を検索してみよう。
医療法人勤務の医師の年収が15,896,848円となっている。これを元に新聞記事が作成されたようだ。
あのさ、医療法人ってさ、結局トクシュウカイみたいな組織の病院ってことですよ。
収益を上げる為に本気であらゆるスキームを駆使して取り組んでいる病院ってこと。
m3の求人情報が自動的にメールで送られてくるので時々見てるんだけど、良い年収が提示されてるんだよなそういう病院って。
一方でひたすら地域医療に貢献する為に働き続けるうちみたいな病院はそうもいかない。不採算部門も抱え続ける必要があるなどの理由でね。
だから、1590万円って値が一人歩きして欲しくないんだよ。
だって、俺はそんなにもらってないんだから。
空床が目立つとか、去年はちょっと黒字だったのに同月である前月の収支は数千万円の赤字だったとか、そんなデータを日々見せつけられ続け、先日、いろんな人に話を聞いてみた。
まず、医者 ”看護師さんや事務職の接遇(患者さんやその家族に対するおもてなし)に問題がある。” ”事務職の診療報酬の計算漏れが多い。”
そして、看護師 ”私たちがいくら頑張っても、先生達が患者さんを入院させてくれないとどうにもならない。”
事務職 ”もっと名医の先生に来て欲しい。それか名医になって欲しい。”
などなど・・・・・・。
どの職種の人も、自分自身に責任があるって発言は聞かれなかったのが残念だった。
全体の話をまとめると、”各職種の接遇教育を行う” ”地域にもっと診療内容の素晴らしさを発信し、本当の名医を雇用する、もしくは名医となるよう努力する(注:名医がいないって訳ではありません、足りていないのです)” ”嘱託の医療事務職を撤廃し、病院雇用の事務職とする” ”収益が伸びないならば、大胆なリストラを行う。特に、外来患者数の少ない医師、腕の悪い医師を教育する、もしくは解雇する”
ってことになる。
今の時代、電子カルテシステムなので各医師の外来患者数や、外来予約患者数をすべて閲覧する事が出来る。
私のこの先1ヶ月の外来予約患者数は大体70-90名程度である。過去1ヶ月間の外来患者数は当然それを上回るのだが、当科の中でだいたい上位1、2位にいる。
一方で、この先外来予約患者数が15人とかって医者もいる。
?????? 15人??? なんで???
そんなのに限って、暇な時間を持て余しスマホでゲームをしているのだからあきれる。術後の合併症発生率も高く、いっぺんデータをすべてまとめて統計学的に分析してみせてやろうかと思ったが、あまりに大人げないのと、時間の無駄だなと思ってやめてしまった事がある。
経営に苦しむ病院にとって本当に必要なのは、口先の世渡りで幅を利かせるヤブ医者ではないだろ。
未開の領域を開拓し、患者数を増やし、そしてその患者さん達にすっとぼけた医療を提供する事にならぬように日々勉強している俺にとっては不愉快きわまりない。
いっぺん自分の子供達に親であるあんたの働きぶりを見せてみろよって思う。
子供はそんなに馬鹿じゃないだろ。
って内容はあくまでフィクションだと思って読んでください。
そう、作り話だと思ってください。
ただし、正論を言う事は時として(というか、頻繁に)バッシングを受けますが、正論を言わねば解決しなかった状況も過去の人類の歴史上、多々起きているのです。
さて、本題に戻ろう。
”診療報酬を平成26年度改定で6年ぶりに引き下げる方針”って記載。
何年間も診療報酬が増えてるんだーって思うよね。
だまされてるよ!!!
以前のブログ記事から引用 ”確かに、民主党政権の時に診療報酬は増額されたな!!!!! そう!!! 0.004%!!!!!!!!!!!!”
0.004%である。
たったそれだけ。
ぜひこれまでの診療報酬の改定の経過をご自分で調べてみて欲しい。
上で引用した記事にはもっとつっこみたい事があるが、次の記事にいこう。
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財政審が来年度予算編成の建議提出 診療報酬は「最大の焦点」
2013.11.29 13:44
2013.11.29 13:44
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は29日、平成26年度予算編成の建議(意見書)を麻生太郎財務相に提出した。財政悪化の主因である社会保障費をめぐっては日本医師会などが引き上げを求める診療報酬の取り扱いを「26年度の予算編成で最大の焦点」と位置付け、同報酬の引き下げの必要性を強調している。
財政の健全ぶりを示す目安である国と地方の一般会計の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)については、26年度の予算編成が「財政再建の試金石になる」と明記。26年度、27年度にPBを4兆円改善させるとした中期財政計画(8月に閣議了解)に対し、「4兆円にとどまらず、できる限り大きい規模で収支改善を図る」と踏み込んだ。
その上で、2年に1度の改定を迎える診療報酬を、「公共料金の見直し」になぞらえ、引き上げは「企業や家計の保険料負担や、患者負担をもたらす」と指摘。引き上げ論を強く牽制(けんせい)している。
このほか主要分野についての考え方を列記しており、公共事業は、「防災的な観点から老朽化対策に重点を置いて長期的に有効性のあるものに新規投資するよう」訴えた。
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この新聞記事を読んであなたは診療報酬に関してどのような印象を得たであろうか?
次にこの記事。
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2014年度予算編成の財務省側の指針となる財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の報告書の骨格が15日わかった。診療報酬の改定がある医療費が予算編成の「最大の焦点」と指摘。病院経営が改善するなか、医師の技術料にあたる診療報酬本体部分を引き上げることは「経済政策として整合性を欠く」と踏み込んだ。年1兆円程度の社会保障費の自然増の35%を占める医療費の大胆な抑制を求めている。
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2014年度予算編成の財務省側の指針となる財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の報告書の骨格が15日わかった。診療報酬の改定がある医療費が予算編成の「最大の焦点」と指摘。病院経営が改善するなか、医師の技術料にあたる診療報酬本体部分を引き上げることは「経済政策として整合性を欠く」と踏み込んだ。年1兆円程度の社会保障費の自然増の35%を占める医療費の大胆な抑制を求めている。
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年1兆円程度の社会保障費の自然増の原因が診療報酬にあると言わんばかりの内容。
すなわち、病院やそこではたらく職員(医師、看護師、技師、事務職等)の収入が高い過ぎるから年1兆円程度の社会保障費の自然増と受け取られかねないような内容だ。
これは大間違いだ!!!
なんなら本当に診療報酬を大きく下げてみろよ。
一時的に社会保障費は低下するだろう。多数の病院を赤字に追いやりつつ。
しかし、その後、再び社会保障費は上昇を始める。
絶対にそうなると言い切っても良い。
なぜならば社会保障費が年間1兆円も増えていっている最大の理由は、”高齢化” であり、”患者負担の少なさ” にあるからだ。
例えば、うちの病院でもとっくの昔に平均余命を過ぎたような90代後半の患者さんの治療をする事が多々ある。
よっぽど貧困にあえぐ患者さんやその家族ではない限り、”最高の医療” を求める。
だって、自己負担額がアホほど安いから。
この激安の日本の診療報酬制度でも、診療報酬額で言うと数百万円かかるような(アメリカで受けたら数千万円から1億円を超える)高度な医療をうけても(うけさせても)、自己負担金は高校生のバイト代程度なのだから。
すなわち、高齢者に限らず、日本においては世界最高の医療を受けられるにもかかわらず、その自己負担額は激安なので、容易にフルコースを頼めるのだ。
ここをどうにかしなければ、日本の医療どころか日本国そのものに未来は無い。
すなわち、高額療養費制度の全廃等を含め、自己負担額の増額をしなければこの社会保障費の問題は絶対に解決しない。
それか、福祉国家と日本人が勘違いしている北欧諸国のように”まともな医療がすぐに受けられない”ような国になるしかないだろう。