雨に思う

 2月27日、雨

 雨だと知りながら、ジテ通。

 行きは幸い、ほとんど雨に打たれる事なく職場に着いた。


 夕方、雨が降っていたので雨仕様(防水で反射材がついているウィンドブレーカーと反射材のついたバックパックカバー)でオフィスを離れた。

 そしたらT社のHさんが ”少し降ってますからお気をつけて” と声をかけてくれた。

 確かに走り出してすぐは少しだけ降っていた。

 でも出発して5分後、激しく降って来た。

 顔を叩き付ける雨粒。

 目を開けているのが辛いぐらいのときもあった。

 さすがに怖くなって、全開走行はやめて、7割程度の出力に落とした。

 そして激坂アタックに入る頃には雨脚も弱まった。


 タイアをコンチネンタル グランプリ4000Sに換えてからウェットグリップにはかなり満足している。

 が、ブレーキのウェット性能にがっかりさせられる。

 がっかりするとは言っても105なのでそれなりの性能のはずだが、ドライが100%の制動力とするとウェットでは60%ぐらいかな。以前、ロードバイクのブレーキの制動力実験の雑誌記事を読んだ事があったけど、こんな値だったと思う。

 ブレーキシューを換えようか?

 やっぱり、ディスクブレーキ???

 なんて事を考えながら、雨に打たれていた。

 ディスクブレーキは雨天時の制動力低下が少なく、雪まみれになってもしっかりと効く(なのでミネソタで乗っていたMTBはディスクブレーキ仕様だった)。

 雨天で制動力が低下している事を認識し、いつも以上に車と距離を置き、万が一の時には制動力が低下している状況でも事故を避けられるように注意しながら走っていた。


 さて、そんなこんなで家に辿り着き、用事があったので夕食後に車に乗って坂を下って街に出た。

 用事を済ませて、帰路につく。

 帰路はいつもジテ通している道だった。

 駅周辺で道幅も狭く(ただし、優先道路)歩行者も多かったので10km/h程度でゆっくりと走っている。

 次の三叉路を左に曲がろう。

 その瞬間、その三叉路(車から見ると左側で細い道)からママチャリが飛び出して来た。

 ぶつかる!!! と思ったので容赦なく、フルブレーキ。

 こんな時、ためらいもなくブレーキペダルをslam出来るのは車馬鹿だからか。

 その道は法定速度は30km/hである。しかし、危険が満ちあふれているので10km/hで走っていた。それでもぶつかりそうになるほどその自転車の動きは危険だった。

 私の車の直前に飛び出して来て、そして車すれすれを通過し私から見て左側に進んで来た。

 その自転車に乗っていたのは30-40歳ぐらいの女性だった。

 この道は、タクシーなんかだとびっくりするほどの速度で走っている。

 もしもこちらがその無茶な運転をするタクシーだったらこの女性は多分死んでいたな。


 この無謀運転をした自転車の女性。

 少なくとも2つの道交法違反を犯している。

 女性が飛び出した三叉路。ここは私もジテ通で使っている三叉路である。

 女性側には一時停止の標識があるのだ。

 なので、私がジテ通(出勤時)する時は、たとえ車が来てなさそうでも、その路地から優先道路に出る時には、クリートを外し、必ず一時停止をして右見て左見て右見て安全を確認してから発進する。周囲から見たら滑稽な姿に映るかもしれない。”なんで車も来てへんのにそんなことしてはるの???” ってね。


 そう、一時停止違反である。


 次に、一時停止を無視して優先道路に飛び出し、私の車の左側をすり抜けていったという事は?

 逆走しているのである。

 自転車にも左側通行が義務づけられているってことをここで再確認しておこう。

 これに違反すると ”3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金” と言う処罰を受けるわけだよ。

 ちなみに一時不停止も ”3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金” です。


 まあ、懲役だの罰金だのはどうでも良いんですよ。

 言いたいのはそのような懲役刑や罰金刑が科せられるような危険な事をしているってことを知って欲しいってことです。




 連日、交通事故ネタが続きます。


 ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれない。

 ”結局お前は自分が正しくて相手が間違っていると言いたいんやろ。事故っても相手が悪いって。”

 その通りです。

 ただし、車を運転していて法定速度30km/hの道を10km/hで徐行して通行しているってことに大きな意味があります。

 自転車に乗っていて車が来ていようが、来ていまいが、一時停止を絶対に守っていると言う事に意味があります。

 そう、加害者にも被害者にもなりたくない。

 その為に、その場の状況に応じて対応していると言う事です。


 これは我々外科医の仕事にも同じ事が言えます。

 例えば、今の時代、クリニカルパス全盛です。

 電子カルテで ”パス展開” をすれば、点滴のオーダーから、食事オーダー、発熱時や疼痛時の指示、採血の指示まで一気に指示が出せます。

 例えば、胆嚢摘出術をした場合なんか、パス展開をした場合、自動的に翌日のお昼から食事が出るようになっています。

 これは法定速度30km/hの道を杓子定規に30km/hで走るようなものです。

 胆嚢摘出術もさまざまです。

 ほとんど炎症がないような胆嚢をとる場合はこれでも良いでしょう。

 ただ、胆嚢の炎症が強く、麻痺性イレウスになっているような高齢者の胆嚢摘出術でこのクリニカルパスのまま食事を出すとどうなるか。

 腸が動いていない(麻痺性イレウス)のに食事を食べると吐きます。老人は呼吸機能も低下しており誤嚥性肺炎を起こし呼吸不全になり死ぬのです。

 こんなことをやらかす外科医ってはっきり言って加害者です。

 そう、危険を感じて法定速度30km/hの道を10km/hで走るように、腸蠕動音を毎日ちゃんと聞いて、しっかりと動き始めたのを確認してから食事を出すべきなんです。

 聴診器を携行しない消化器外科医=ヤブ医者 ですよ。


 さらに、胆嚢炎がひどく敗血症性ショック、DICになっている高齢者に腹腔鏡手術を強行。そして、大出血させる。

 これこそ、単細胞の馬鹿のする事です。

 ”とりあえず腹腔鏡で” なんて考えは危険ですよ。


 さらに言えば、そんな事をやらかしても処罰も無く、再教育制度も無い。そこが日本の医療の怖い所です。

 これって ”ムラ” ってやつですか?