国家による統制

 6月10日、曇り

 梅雨入りしてから、雨が続く、曇りが続く。

 自転車馬鹿には鬱陶しい季節。


 さて、タイトルの件。

 日本

 医者

 専門医

 この3つのキーワード。

 そう、日本の医者の専門医制度が大きく変わろうとしている。

 これまでは各学会が独自の審査基準を設けて専門医試験を実施していたのが、日本専門医機構によって一括で管理されることになる。

 2004年に国が主導して新しい臨床研修医制度が導入され、田舎の医療は崩壊した。

 私が研修医をしていたのはこの新しい臨床研修医制度が導入されるより前だったので、月々15万~20万円の給料で、昼ごはんを食べることもなく手術に入り続け、毎月150時間ぐらいの無給の時間外労働(ボランティ ア活動? 教育実習活動?)を行い、体重は53kgまで低下し、朝、目が覚めたら”まだ生きてた”って思う毎日を送っていた。しかし、この新しい臨床研修医制度が導入されてから研修医の諸君は35万円程度の月給が約束され、医局に入ることもなく無茶苦茶な労働を強要されることもなく、言い方は悪いがお客さん状態で働くようになった。無茶なことを要求したらいつでもやめちゃう、この職場が嫌になったら別の病院に任意で転勤すればよいって風潮が少なくない雰囲気となった。卒業と同時に入局し(実際は学生の頃から入局を決めていたが)、医局の人事は絶対的であった昔は、もうはるか昔。

 そうなると、部長、副部長クラスはどうする? そう、うまく若い医者と付き合うようになる。そう、”うまく” 付き合う。

 私はそれがどうにもしっくりとこないというか、それでは”日本の医療の未来は暗い”と思ってしまう。

 昔なら何の厳しい姿勢で研修医や後期研修医に接すると、、、、、、、

 それでもついてくる人はいるし、やめちゃう人もいるんだろうし。

 


 ここ数日、日本専門医機構の意図を理解しようと色々と調べていたが。

 ????????????????

 これじゃあ、さらなる混乱を生むだけではなかろうかと。

 大病院志向がさらに強まり、医局離れを国は叫んでいたがそれではうまくいきそうにもなく。

 資金力がない田舎の公立病院や個人病院は次々と潰れそうだね。

 都会の病院はど赤字でも、例えば ”神戸だから” って理由だけで研修医が集められるけどね。

 なんでうちの病院を選んだの? って研修医に尋ねたら ”神戸だからです!” って言われた3年前を思い出すね。それが病院を選ぶ理由?????

 どんどん若い医者の全体の質が落ちてるわ。


 でも、今の勤務先の病院で外科医を志す若き獅子は優秀だよ。

 うちのチームのささやかな目標の一つは。

 Dana–Farber Cancer Instituteに送り出せるような腫瘍外科医を育成しよう、である。

 勤務中にタバコを吸いに行ったり、スマホのゲームで遊ぶようなくずには考えもしない、実行もできないような目標だろう。今のグータラを維持したいって輩には。



 そう、先日、自転車に対する取り締まりが強化された。

 これこそ大歓迎するべき国家による統制。じゃんじゃん取り締まってくれ。

 右側通行で逆走してくるママチャリのおっさん、おかーさん。一方通行なんか完全無視のおばちゃん。歩道を爆走するなんちゃってロードバイク乗りのおにーちゃん。

 片っ端から取り締まってくれ。


 しかし、日本専門医機構。

 これは歓迎しかねる。

 さらに、日本の医療(医師育成)が間違った方向にいきそうに思う。

 これまでの既存の学会の成し遂げてきた業績、苦難を乗り越え志のある人々が築いてきた組織およびその組織が認定した専門医を否定することも許せないんだよね。

 もっと詳細を掘り下げて調べようとは思うけど、これまでのところ強い不快感を感じている。