ミネソタの冬のタイア事情

 12月17日、ミネソタ晴れ

 今日も天気がよい。そして温かい。とはいっても最高気温-4℃、最低気温-12℃だけれど。


 さて、1年以上前のことだが、ミネソタへの赴任を決めたとき、いくつかの心配と言うか、疑問があった。

 ミネソタアメリカの冷蔵庫(冷凍庫)と呼ばれているほど、冬場の気温が低い。常に氷点下である。

 車のタイアはどんなのを装着しているんだろう?

 日本では冬はスタッドレスタイアに履き替えるのが一般的になっている。ミネソタでも同じなのだろうか?

 ミネソタに来て知り合いの方に”冬はスタッドレスタイアに履き替えるのでしょうか?”と聞いたことがある。

 答えは決まってこうだった。”そのままです、でも滑りますよー、滑って当然って感じで運転すればいいんです”

 そして実際に冬になり、雪が降り、車を運転してみてこの返答が正しかったことがよく分かる。


 今日は、ミネソタの自動車のタイア事情について考えてみたい。

 まず、こちら我が家のアルマダのタイア。
イメージ 1

 オールシーズンタイアが装着されている。そして”赤いやつ”にもオールシーズンタイアが装着されていた。

 他の州はどうなのか知らないが、ミネソタを走っている車のほとんどがオールシーズンタイアを履いている。

 オールシーズンタイアはその名のとおり、全ての季節に対応したタイアで、日本的に言えば夏用タイアと冬用タイアの中間的存在だ。

 夏場はスポーツラジアルタイアほどグリップは期待できず、そして冬場はスタッドレスタイアほどのグリップは期待できない。

 ためしに、COSTCOのサイトアルマダのタイアを検索してみるとこうなる。
イメージ 2

 どちらもオールシーズンタイアだ。ただ、同じオールシーズンタイアでもタイアパターンを見る限りはMichelin - LTX® M/S2が冬場に向いている。すなわち、オールシーズンタイアでも特性が異なっている。

 ついでに”赤いやつ”のタイアを検索してみた。
イメージ 3

 これもオールシーズンタイアのみが検索結果として表示される。

 すなわち、オールシーズンタイアが北米では一般的なタイアなのだ。

 もちろんスタッドレスタイアも入手可能で、たとえばこちらBridgestone社製Blizzak DM-V1
イメージ 4


 ではなぜミネソタではスタッドレスタイアは一般的ではないのだろうか。そしてなぜ日本ではスタッドレスタイアを装着するのだろうか。

 これには以下の要因があると考えている。

 気候、地形、道路の管理、国民性

 まず気候だが、ミネソタはとにかく寒い。冬は常に氷点下。雪は融けない。すなわち、雪が融けてそれが再び凍結しアイスバーンを形成することが少ない。また、雪の量は日本の豪雪地帯と比較すると非常に少ない。
 一方、日本では融けた雪や、山水が道路で凍結してアイスバーンを形成することが多い。また除雪が追いつかないほどたくさんの雪が降る。

 地形だが、ミネソタはほとんど平坦である。見渡す限り山がない!!。ロードバイク乗り、特にヒルクライマーにとっては非常に寂しい地形である。なので斜面を登れなくて困っちゃうなんてことがほとんどない。

 道路の管理。道路の幅が広く、そして雪の量および頻度が少ないので除雪はやりやすい。Winter Stormのときはさすがに幹線道路にも雪が積もるが、雪がやんでしまえば除雪によって、数時間後には雪がない状態になる。そして凍結防止剤を大量に撒布しているため、道路にうっすらと雪が降っても徐々にとけて乾燥していく。なので雪が降らない限り幹線道路はドライ路面がつづく。しかし、住宅地の道路は除雪や凍結防止剤が十分ではなく、圧雪路となっているが。

 国民性。日本人はなんでもかんでも最高にいいものを求める。夏と冬とでタイアを交換してでもその状況に最も適したタイアを選択する。アメリカ人はおおらかで、実用上問題が無ければ、最高のものでなくても気にならない。これは仕事をしていても頻繁に感じる。なんだってこんなぼろい機械を使い続けるんだろう?しょっちゅう故障するのに・・・・・・・。アメリカ人に言わせればこうだ、”修理すれば使えるようになるから問題ないよ”って。いやいや、故障することが問題なんじゃないの?

 ミネソタではオールシーズンタイアを年中履いていれば良い。これが結論。スタッドレスタイアほどの強烈なグリップは必要ない。特にスタッドレスタイアは圧雪路や凍結路面での効果が高いが、ミネソタの幹線道路は圧雪路でもなく凍結路面でもないので一般的には必要ない。Winter Stormのときは圧雪路が出来上がるが、その時はみんなゆっくりと走っている。もちろん、ゆっくりとは言ってもいわゆる夏用タイアではなくオールシーズンタイアを履いているのでそれなりの速度で走っている。オールシーズンタイアの雪道でのグリップは予想以上のものがある。

 ただし、今回の話はミネアポリス周辺に限った考察であって、それ以外の田舎はどうなのかは知らない・・・・・。


 最後にこちら。地方紙Startribuneのサイト


 雪道での車のコントロールの基本はこれ。(画像クリックで拡大)
 Survival guide to winter driving
イメージ 5

 これを読んでみると結構面白い。

 ”とっさに何かをしなければいけないと思ったときはもう遅すぎる。”
 ”ABSが装着されている車はブレーキを踏み続けましょう。もしもABSが装着されていなかったら、出来るだけ早くブレーキを踏んだり放したりしましょう。もしも、車のコントロールを完全に失ってしまったら、ブレーキを完全に踏みつけておきましょう。そうすれば車はまっすぐ滑っていくので他の車の運転者があなたの車が滑っていく方向が予測しやすいので。”




 私も車の免許を取って初めて雪山にスキーに行った時、これと同じようなものを読んで出かけたことがある。しかし、全く役に立たなかった。雪道では車の荷重移動がきわめて重要である。その為には積極的にアクセルやブレーキをコントロールする必要がある。こんなもんを読むよりも、グランツーリスモでもやったほうがよっぽど為になる。ちなみに私はその当時、セガラリーをやりまくっていた。

 もちろん最も重要なのはゆっくりと走る事である。

 そして時々、スタッドレスタイアを履いている車を見かけるとなぜかうらやましく感じてしまうのはやはり私が日本人だからだろうか。