給油できない車

 4月21日、ミネソタ快晴

 日本は何やら寒いようですが、ミネソタは今日も快晴。風が涼しくとても快適。湿度も35%前後と極度に乾燥。

 そして相も変わらず、午前7時過ぎから仕事をつづける日々が続いている。

 まあ、日の出が6時18分、日の入りが8時5分と日照時間が長くなっているのでそれほど早起きも苦痛ではなくなってきた。

 今日は仕事を済ませて、とある用事があったのでフリーウェーを軽く走って目的地に到着し用事を済ませてからガソリンがほとんど空っぽになったことに気がつき最寄りのガソリンスタンドで給油しようとした。

 ヒューエルリッドを開ける。キャップをひねる。

 ここまではいつもと特に変わったことはなかった。

 しかし、キャップを取ってみるとそこには給油口がなく・・・・・・・・・、地面があった・・・・・・・・・・・。

 なじぇに?

 あまりにも予想外の景色にしばし何が起きているのか、この私の車、赤い奴に何が起こったのか理解できなかった。

 さて文章で説明しても嘘くさいので、実際に撮影された写真を提示しよう。

 給油口
イメージ 1


 ヒューエルリッドを開けましょう
イメージ 2


 そしてキャップをひねり外してみると・・・・・・・・・・・・・・・。

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 オー、ノー とても言えばよいのか。ホワットハプン? とでも言えばよいのか・・・・・・・。

 こちらが、オー、ノー な状況を撮影した写真。
イメージ 3


 いつもの給油口はなく・・・・・・・、見たことのないホースと地面が見える・・・・・・・・・。

 ガソリンタンクから伸びている太いホースの接続が外れ、下のほうにぶらぶらとぶら下がっていた・・・・・・・。

 給油口周辺がさびて朽ち果ててホースが脱落したのだった。

 なるほど燃料タンクとはこのようにしてつながっていたのか。なるほど、なるほど、とちょっとだけ感心し、あとは約5秒間、茫然自失。

 とにかく給油して何とか帰宅せねばならない!!!

 そう思った私は、車の下に潜り込み何とかできないかと思案する。

 結局、ボディーの下に腕を伸ばしてホースを支えて給油口に近づけて、給油機のノズルを入れようと試みた。

 キャッシュカードを給油機に差し込んで引き抜く、油種を選択しノズルをもち、右手をボディーの下に入れてホースを持ち上げてノズルを差し込もうと何度か試みた。

 しかし、時間がかかりすぎ、むなしくも給油機のモニターに、キャンセルの文字が・・・・・・・・。

 あー、神様・・・・・・・。この哀れな私に御慈悲を、なんてキリスト教徒ではないのにお祈りをささげてしまった。

 こんな時、仏教徒の私は、あーお釈迦様とでもお祈りすればよかったのだろうか・・・・・・・。

 結局、祈りもむなしく5回繰り返して諦めた。

 へんてこりんなことをしているアジア人がいるなとガソリンスタンドのスタッフがやさしい声をかけてくれることを期待していたが、何事も起きなかった。

 手と腕は真っ黒、服も汚れた・・・・・。

 さて、へこんでいても仕方がないので、次にガソリンの残量を計算し、何とか自宅まで帰れそうだという結論をだし、そのまま出発することにした。

 フリーウェーに乗るもガス欠の不安が消えない・・・・・、でもAAA(日本でいう所のJAF)の会員だしー、ガス欠になってもだいじょーぶ。動かなくなったら電話すりゃいいやと開き直り、心を無にして走り続ける。

 そして自宅付近になり、このままではどうにもらちが明かないので自宅のすぐ近くにあるガソリンスタンドに車を停めた。

 このガソリンスタンドは整備もしてくれる。車を停めてオフィスに向かった。

 以下、メカニックとの会話。

 私: あの、すみません。車にちょっとしたおかしな、でもとても深刻な問題があって。ちょっと見てもらいたいのですが。
 メカニック(以下、メ): もちろん、いいですよ。どうされたのですか?
 私: 先ほどガソリンを入れようとしたら、ガソリンが入れられないのです。給油口が壊れていて。
 メ: ??????????????????、は? とりあえず車を見ましょうか。

 給油口を開け、キャップを外してその惨劇を見たメカニックはこう言った。

 メ: This is a problem.
 私: でしょ・・・・・。

 そしてとりあえず給油しようということになり、地面にメカニックが仰臥位で横たわりホースを支えて、私が給油機のノズルを持ち給油した。その光景を見た他のメカニックはこういった。

 メ2: なんかracyやね・・・・・・・・・・・・。

 さて給油も無事終わり。

 メ: こんなの今まで見たことありませんよ。
 私: Me too・・・・・・・・・・・。

 さてガソリンは満タンになったがこれで問題が解決したわけではない。修理しようということになり、オフィスに戻って交換用部品が入手できるかどうか調べてくれたメカニックはこう言った。

 メ: 在庫にはありません。全米を探してみます。そうすれば見つかるかもしれません。なにせこんなところの部品を交換する必要なんて普通はありませんからね・・・・・・・・。

 そして彼はこうも言ってくれた。

 メ: 修理ができるまでにもしもガソリンを入れる必要があったらまたうちに来てください。私が今日と同じように地面に寝転んでホースを支えますから。
 私: ありがとう。ほんとありがとう。

 そして自宅の住所と電話番号を渡し、別れの挨拶をして、お互い握手をしようとした。

 私の手も彼の手もまっくろ・・・・・・・・、そしてお互いがお互いの手が黒く汚れていることに気がつき、握手をした。


 私の車馬鹿人生、決して長くはないが短くもない。これまで所有した車は6台。いまだかつてこんなに素敵な車に出会ったことはなかった。手を焼かせる奴ほどかわいいというが・・・・・・・・。今回ばかりはただただ笑うしかなかった。

 ちなみに交換用のパーツが手に入ったとしてパーツ代で450ドル・・・・・・、プラス 工賃・・・・・・・。

 虞や虞や汝を如何せん・・・・・。

 かの武将、項羽も今日の私と同じ気分だったのだろうか・・・・・・・、いや絶対違うな・・・・・・・。