ミネソタからのつぶやき
4月29日、ミネソタ晴れ、曇り、小雨
今日も7時すぎに出勤。
毎日毎日、同じ時間に起床し同じ時間に仕事を始め、同じ内容の作業を行い同じような結果を得る。
まるでデジャ・ブ・・・・・・・・・。
今日はアメリカ人女性外科医と仕事をしていたのだが、彼女にこの生活についてぼやいてしまった。
”いつも同じことをして今日が何曜日なのかさえ分からない、同じ景色、同じ内容、毎日毎日同じことの繰り返し。こんな生活どう思う? stupidなidiotだとは思わないかい?”
彼女は非常にやさしい人で、私がぼやいているのを聞いてなんとか気を紛らわせようといろいろ話してくれたが、彼女もあせっていたのかあまりにも早口でしゃべるので・・・・・・、ほとんど理解できなかった・・・・・・・・・。
そしてラボで中ボスに合う。
彼も疲れ切った表情でこう言った。
”今週末は脳死ドナーの受け入れをすべて断ろうと思うが、いいだろうか?”
そんなこと俺に聞くな!と疲れのたまった私は言ってしまいそうだったが、”あなたがそう思うならスタッフのみんなも歓迎すると思うよ” とだけ答えておいた。彼も安心したような表情をしていた。
その会話の後、中ボスが全スタッフに送信したメールの内容を紹介しよう。
”親愛なる皆様へ。日頃の皆さんの助けのおかげで、今月は次の成績を上げることができました。 脳死ドナーの受け入れ6件、自家移植の実施件数5件、大動物の実験20件。 今週末はチームメンバーの人的資源の問題もあり脳死ドナーの受け入れを拒否します。 みなさん、ありがとう。 中ボスより”
よくやったと思うよ。ほんと。
この業績を見てよくやったと言わない人はいないと思う。特に同業者では。
以前、この施設で働いていた歴代の日本人外科医の皆さんも驚かれるのではないだろうか、この件数には。
先日、週末のオンコールの件で中ボスや中堅のスタッフ相手に1時間ほど討論したが、その結論はこうだった。
”今の我々のチームは歴代最強だと思う。みんなよくやっている。この業績がそれを示している。”
いろいろと問題を抱えるこの巨象だが、最近は中ボスもその乗りこなし方を理解してきたらしい。
それは ”大動物の実験は私たち研究者に任せ放置すること、自分でできる範囲で働くこと、自分の限界を超えそうになったら潔くこれ以上はやめておこうという事”
なんと、PIの彼は大動物の実験には現在一切かかわっていない!!
それほど、実験以外の臨床の仕事が多いのだ。
なぜか? それは臨床の仕事が非常にうまくいっているからだ。
同僚が時々、脳死ドナーの受け入れ依頼の当番をしている。UNOS(日本でいう日本臓器移植ネットワーク JOT)から携帯に脳死ドナーの受け入れ依頼のテキストメールが届き、パソコンを立ち上げUNOSのWebページにログインし、ドナーの状態を確認し受け入れ適応になっているかどうかを判断する役目だ。
いつも早朝に彼と会い仕事を始めるのだが、先日彼はこう言っていた。
”昨夜、UNOSから6件依頼があったよ・・・・・・・、でもすべて条件に適合していなかった・・・・・・・”
まともに眠れなかったのだろう。表情が冴えなかった。
アメリカにいるとは思えないほど激しく皆働く部署で私は仕事をしている。
その分、人間の本性というか本音というか、それを感じながら仕事をしている。
さすがに今月の仕事内容は激しかった。
早朝から夕方まで働き続け、自分のオフィスで椅子に座るのは昼食をとる15分ぐらいだけだった。
論文もろくに読めず、膨大なデータの整理もほとんどできなかった。
みんな疲れ切っている・・・・・・・・。
しかし、日本だったらこのまま誰かが過労死するまで働き続けるんだろうなと思う。特に医療の現場では・・・・・。
しかし、ここはアメリカ!!!!
今週末は自由だ!!!!!!
さて何しようかね?