ツール・ド・フランス、ステージ5

 7月8日、ミネソタ晴れ

 さてツールも、6日目。

 昨日、今日とスプリンターたちの見せ場が続く。

 ステージ4ではチームコロンビアがロケット不発に終わり、カベンディッシュはもうだめなんじゃないかなんて言われてしまっていた。

 確かに見ていても今までだったら爆発的な加速を見せていたであろう瞬間にカベンディッシュは周りの選手についていけずあきらめてしまっていた。

 さて、ステージ5はどうなるやら。

 逃げを図った選手はゴール前で吸収されてしまい、やはり今日もスプリンター対決となった。

 コロンビアがいい感じでトレインを形成する。そこにガーミンが割って入り、ガーミンがこのまま3段式ロケットで勝利を手にするかと思った・・・・・が・・・・。

 ゴール直前、カベンディッシュが飛び出した!!

 昨日とは打って変って闘志むき出しでペダルを踏みつけ余裕の勝利!!

 すご・・・・、あの加速。

 表彰式で泣いてましたな。どうもおばあちゃんが亡くなっていたらしい。それ以外にもたくさんのプレッシャーがあったようで今日の勝利でそのプレッシャーから解放されて涙があふれたんだ。


 明日も峠は少なく、優勝候補たちは仲良くゴールするんだろうか。

 そして週末に始まる、山岳ステージ。どうなる。どうする。

 それにしてもカベンディッシュって好きになれないけど気になるよな。山岳ステージでは歩いたほうが速いとまで揶揄されるほど遅いカベンディッシュ。それでも今日みたいなステージではアシストの助けを借りて最後にドカンとミサイルのごとく前へ前へ突き進む姿。ちょっとかっこいいんだよな。

 それと映像では気がつかなかったのだけれど、新城選手が15位でゴール。最後のスプリント競争に参加していたらしい。もうちょっと前まで来てくれていたら気がついたんだけど。カベンディッシュとステージ優勝を争えるような選手になってほしい。


 今フランスは激暑らしい。なので選手たちも盛んに水分、塩分、糖分の補給をしている。

 サイクルスポーツ、特にツールのような長距離のレースはこのスポーツ栄養学が非常に進歩していて、レース中、そしてレース後やレース前に何を摂取するべきか、科学的な根拠に基づいて判断し、実行している。そうでなきゃ1か月にも及ぶツアーを乗り切ることなんかできない。

 私が空手道部時代に先輩から”練習中は水以外飲むな”なんていわれていたけれど、まあ、冷静になって考えてみるととってもばかげていたことだった。なので、私が上級生になった時に、この”水以外は飲んではいかん!”ってのをやめたんだわ。不思議なほどに、日本の医学生ってのは栄養学に疎いんだ。

 真夏の合宿。道場には空調なんかない。板張りの床に汗のシミが至る所にできるほど、暑い。こんな状態で2時間とか3時間練習する。その時に、水しか飲まなかったらどうなるかなんて素人でもわかると思うんだけどな。でもな、根性と忍耐、それが武道だって言われるとそう思っちゃうんだよな下級生ってのは。

 くそ暑い日本の夏、スポーツをする方たちは是非、ツールの選手たちを見習って積極的に適切な水分、塩分、糖分、そしてタンパク質もしくはアミノ酸を摂取してください。

 熱中症、低ナトリウム血症になんかなって救急に担ぎ込まれないようにご注意を。ここら辺のことをちゃんと勉強していれば防げますから。

 日本で医者をしていたころ、夏場に働いていると必ず何人か運ばれてくるんだ。いわゆる熱中症で。そんな時は電解質の点滴に少し多めにブドウ糖を混ぜて点滴していた。当然、血糖値を測った後で。アメリカに来て思うけど、あれはちょっと優しすぎたかもしれない。アメリカだったら何か自分で飲めるなら自分で飲ませるんじゃないかと思う。そもそもよっぽどひどい熱中症で意識を失うほどじゃないとアメリカでは病院には行かないだろうな。