中原利郎医師の過労死裁判の和解

 7月27日

 さて、久しぶりにちょっと日本の医療がどうなっているのかネットをさまよい調べていた。

 すると、小児科医中原利郎医師の過労死裁判の和解が成立した事を知った。



 いつだったろうか、私もいつか過労死するかもしれんなーと思いながらぼろ雑巾のように働いていたころだった。中原医師の娘さんが過労から自ら命を絶った父親と同じ小児科医になっている姿をテレビで放送していた。ドキュメント番組だったと思う。それを見ながら、もし私が過労死したら私の娘は外科医になるんかなー、ならんわなー、なんて思っていたことを思い出す。

 この中原医師の遺書。この文章の持つ重大な意味があなたは理解できますか?

 日本の小児科医の労働環境、特に夜間の小児救急を受け入れている病院の小児科医の労働環境はほんと悲惨だった。若い小児科女医さんも当直明けに医局に戻ってくると、私の後ろで椅子に深く腰掛けてため息をついていた・・・・・・。髪の毛ぼさぼさ、化粧は当然なし・・・・・・。そして一睡もせずにそのまま外来診療に従事する。綺麗な人だったけどな・・・・・・・。とある男性小児科医は死亡診断書をその死亡した子供の父親に渡そうとした瞬間、その父親から言われもなく殴られて警察沙汰になったこともあった・・・・・・。その小児科医は疲れ切っていてその親の拳をよけることもできなかった・・・・・・・。

 そしてその小児科・・・・、今のお国が定める診療報酬では不採算部門・・・・・。

 いくら働けど、いくらかわいい子供たちの命を助けれど、不採算・・・・・・。

 日本の未来となるおさなごを救うための小児医療がその病院のお荷物状態・・・・・・・・。

 ぼろ雑巾のように働けど、不採算のレッテルで非難され続ける・・・・・・。

 おかしいと思いませんか?

 今やコンビニ状態の日本の小児科診療。診療報酬が安すぎて十分なスタッフを雇用することさえできない。働いている医師や看護師たちも疲労がたまり閉塞感に満ち溢れている。

 我が家が渡米直後に、次女が食中毒で何も食べられず、極度の脱水となり小児科医を受診。診察だけで点滴も処方もなしで請求金額9万円・・・・・・・。これがアメリカですよ。

 一方、日本。点滴もして入院もして、それでも不採算か・・・・・・・・。

 日本の未来さえも不安に感じる。

 日本の未来、希望である子供たちが健全に育つためには、ゆとりある小児科診療が必要不可欠だと思うのは私だけだろうか。

 今一度、日本の医療を考え直してほしい。

 日本は世界的に見ても非常に高度で手厚い医療を患者に提供している。しかも破格の安値で。

 そんな医療が長続きすると思いますか。

 不採算 > スタッフの削減 > 残されたスタッフの疲弊 > 若い医師がその現場を見る > その科に進むことをやめる > 過労がさらなる過労を生む

 どうなる日本の医療よ。