暑い夏

 8月3日

 暑い・・・・・・、ミネソタとは思えないほど暑い。蒸し暑い。

 約3週間のデータ分析ならびに実験計画の作成期間を経て今週から怒涛の実験生活再開。

 朝7時過ぎに集合して仕事を始めるので、私のお弁当を作ってくれている妻は6時ごろに起きる。

 ただでさえ夜中に三女の世話をしているのにさらに早朝からお弁当を作ってもらっている。

 ありがとう。


 ミネソタの極寒の冬の季節には、4℃のコールドルームを使用して実験をしていた。外気温は氷点下だってのにさらに仕事をする部屋も寒いなんて、と思っていたが、実験のためにはこの4℃の部屋を使用することが重要なので耐えていた。

 さて、この真夏、なんとエアコンも換気設備も何にもない部屋で全く同じ内容の実験を行っている・・・・・・・。

 温度計がないので正確な値は言えないが、間違いなく華氏90度は超えている。もしかしたら100度ぐらいあるかもしれない。

 そんな部屋なのでスクラブ(手術着、実験着)を着ていても暑い。さらにこの上に通気性に乏しい滅菌ガウンを着て、マスクをして帽子をかぶって・・・・・・・。

 もう汗だく・・・・・・・・・・・。

 しかも室温が高すぎて本来対象物を急速に冷却するべき工程がうまくいっていない。

 それでも何か事情があるのだろうと昨日は我慢した。

 なにせ、この大規模な実験はいろいろな部署の人たちとの共同作業。彼らの事情でこの部屋を使用しているわけで、我慢するべきところは我慢しようと思っていた。

 が、今日は昨日よりもさらに暑く、しかも昨日の2倍の作業をした。滅菌ガウンを着て作業をするのは私ともう一人若い研究者だけ。そして、実質的な作業のほとんどを私がしているわけで・・・・・・・・。あまりに暑いので、その若い研究者(印度人)に私の作業を今日は君がしてみるかいと尋ねると、断られた・・・・・・。先日、 ”私にもやらせてほしい” と中ボスのところにまで言いに行っただろうが!!!!!

 キレました。

 もうやってられん。

 中ボスや大ボス、その他スタッフ全員にこのサウナのような部屋で実験すると私たちのスタミナにも影響するのはもちろん、取り扱う臓器や細胞にも悪影響が大きすぎてまともな実験結果が得られるはずもないと説得した。

 2,3日ならまだいいだろう。

 そうではないのだ。同様のことをほぼ毎日、これから毎週する予定になっているのだ。

 今日は結局7時過ぎからぶっつつけで12.5時間、働いた。

 明日も同様のことをする。

 たぶん明日も同じサウナ状態で働くことになるんだろう。

 そして再び私が苦言を言う。

 そして、私の怒りが本物であることにそろそろ同僚が気がつき対策が行われる。

 ただ、ここはアメリカ。そしてミネソタ

 その対策が実行に移される頃にはこの猛暑もあっという間に過ぎ去っているんだろうな、なんて思うのだった。


 先日破損した実体顕微鏡は修理に出されたままいまだ帰ってこない。催促してみると、その業者の担当者が休暇を取り遊びに行っていて連絡が取れないそうな・・・・・・・・。

 あー、アメリカ。おー、アメリカ。