同僚と日本、中国、インド、チベットについて語り合った日

 9月28日、ミネソタ晴れ

 今日は朝から会議だった。そして昼過ぎにミネアポリスから移動し、セントポールで仕事をした。

 ミネアポリスからは大学のキャンパスコネクターというバスでセントポールまで移動する。

 同僚の印度人の若い研究者と二人、いろいろな話をしながら移動した。

 このブログを読んでいる方は私と印度人勢は常に争っているような印象を受けているかもしれないが、そうではない。もちろん以前何度かブログにも書いたように、彼らと言い争いをすることが何度かあったし、これからもあるだろう。しかし、普段は同僚であり、ともに協力して難題に取り組んでいる戦友でさえある。
 いつも一緒に仕事をしているこの印度人の若い研究者は、近い将来アメリカで医者になるためにアメリカの医師免許の取得も仕事をしながら行っている。彼は非常に勉強熱心で、時にその知識から机上の空論を雄弁に語り私を怒らせるのだが、豊富な知識から自虐的、排他的な発想しかできないような人間ではなく、むしろ楽観的、建設的意見を持っているのでそういう点では非常に付き合いやすい。

 そんな彼とミネアポリスの職場を後にし、バス停まで歩いているときに彼がこう切り出した。

 ”今、日本と中国の間で争いが起きてますね。”

 この彼の発言をきっかけとして、尖閣諸島をめぐる日中間の争いのことを話した。

 そして今度は私がこう聞いた。

 ”私の知り合いにはチベット人家族が何組かいるけれど、彼らは中国の迫害を逃れ、インドに亡命した。そしてインドからアメリカに移り住んでいるんだ。インドと中国の関係はどうなっているんだい?”

 彼もそのことに関して、いろいろな考えを持っていたようで話が盛り上がっていった。

 彼が言うには

 中華人民共和国は人口世界一、そしてインドは世界第二位。輸出入も盛んで最大の貿易相手国なので、経済上はなるべく争いは避けたい関係にある。しかし、やはり中国との間には国境問題もある。チベットの問題もある。それにパキスタンがね・・・・・・。政治の上では中国との関係は非常に悪い。


 みなさんご存知のように、インドとパキスタンは過去何度も戦争を経験している。そのパキスタンは中国からミサイル技術をはじめとして、武器の供給や軍事技術も提供しているので、中国は非常に迷惑な国としてインドは認識している。

 こうして話をしていると、中国に対して日本とインドは近い立場にあるのかもしれないなと思えるのだった。 

 バスに乗りながらこの話をしていると、バスの車内には中国人と思しき学生が何人か乗車していた。何とも言えない気分だった。

 ただ、私もこれまで何人かの中国人と仕事をしてきたし、中国の大学で講演をしたこともある。私が接した中国人はみな親切かつ誠実で、今の中国の政権が見せているような驕った態度をするような人は誰もいなかった。こうして考えてみると、中国政府は許しがたいが、中国国民を憎む気にはなれないのだった。

 ここで印度人の中ボスや同僚たちと私の関係を振り返ってみる。彼らは自分の言うことを聞きそうな奴らを見つけては言葉巧みにだまし、脅し、言いなりにさせようとする。しかし、私はおとなしくいうことを聞くわけもなく、中ボスの恫喝に恫喝で応じてきた。もし、私が今の日本政府のように脅されたら言うことを聞いてしまっていたら、彼らの言いなりの職場生活を送っていただろう。
 何が言いたいかというと、国際社会においては”なめられたら終わり”ってこと。”いい人”では生きていけない。そして、全くひるまぬ対抗姿勢を見せつけることで、私と彼らとの間でむしろ良い関係が築かれていった事。
 これは、今の日中の関係にそのまま当てはめて考えるのは少々危険だが、日本にいる日本人は国際社会での覇権争いにちょっと鈍いんじゃないかと思う。
 

 さて、セントポールでの仕事を済ませ、印度人の同僚はそのまま帰宅。私は再び、バスに乗りミネアポリスの職場に戻った。

 バス停で一人、バスが来るのを待つ。 
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 何とも言えない平和なひと時だ。ご覧のように夕方からは雲が目立ち始めた。

 バスがやってきたがこれは反対方向のバス。
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 これに乗ってもいいのだが、セントポールキャンパスを一周してからミネアポリスキャンパスに向かうことになる。

 バスの車内。
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 いろんな国の学生が乗っている。車内はとても落ち着いた雰囲気で清潔。乗り心地も悪くない。

 ミネアポリスキャンパスにある、TCF Bank Stadium周辺。
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 とても気持ちの良い秋晴れの日だった。