ダッジ君、ありがとう、そしてさようなら

 2月11日、ミネソタ小雪

 さあ、金曜日。

 Happy Fridayだい!!!

 って感じではないのが今日。

 ついに、とうとう、finally ・・・・・・、赤い奴、Dodge Stratusを処分する日がやってきた。

 こちら、今日の”赤い奴”
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 この写真でみるとそれほど悪くないな・・・。

 しかし、こちら
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 私がこの赤い奴に出会った時点で、ボディーの下回りはさびだらけで朽ち果てていた・・・。最外装の鋼板がさびでぼろぼろになって浮き上がっていた。そして、今年の雪。雪が積もる道を走るとその雪がさびて浮かび上がった鋼板に引っかかりそして巨大な氷の塊となってボディーの下に付着。ちょっとした段差を乗り越えたときに、下回りからバキ!っと激しい音がしてその雪と朽ち果てた鋼板が脱落して上の写真の様な状態になった。

 これは2010年の4月の写真。
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 給油口の金属製のパイプが朽ち果てて脱落し、給油口から地面が見える珍しい状態となった・・・。これは応急処置で給油可能な状態にして、近くの店で交換用の部品を探してもらったが結局その店からはなんの連絡も無かった・・・。

 そして先日、エンジンからオイル漏れが発生。
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 この部分のヘッドボルトが折れていた・・・。エンジンブロックに意味不明の数値が書き込まれているが、おそらくはるか昔に修理したのではないかと思う。たぶん、このエンジンブロック、リビルドパーツだったんじゃないかな。

 エンジンは普通に回って走れるのだが、エンジンオイルを噴き出しているのでそのまま走れば確実にエンジンが逝く。

 さて、このヘッドボルトの破損。修理するとなると、ガスケット交換キット一式と、新品のヘッドボルトのセットが必要になる。

 ここはアメリカ。近くの自動車パーツ屋で全て購入可能。

 Head Gasket Set 96.99ドル。Head Bolt 25.99ドル。

 とても安い。後はトルクレンチとかの工具をそろえれば自分でも簡単に交換できる。

 修理すること自体はとても楽しいのでやりたいのだが、その費用対効果は今となっては???である。

 そこで、給油口が壊れたときから決めていたことを実行することにした。

 それは、アメリカ人相手に高値でこの車を売りつけることである。実は、こんな状態の車でも500ドル程度で売れるのだ。

 アメリカでは、特にミネソタではこんなポンコツでも十分価値がある。私がこのポンコツを町で運転していても全く違和感が無い。だって、この赤い奴よりもはるかにぼろい車がごろごろ走っているのだから。

 さて、”アメリカ人相手に高値でこの車を売りつけることである”ってのは冗談。

 ならば、どうするかというと。Donationである。

 そう、寄付するのだ。

 日本だったらこんな車に価値は無く、廃車費用を負担してスクラップ屋に持って行ってもらうことになるがアメリカは違う。

 この車を修理して中古車として販売するか、部品取りをしてパーツとして売ることができる。なので、寄付を受け付けている団体が結構ある。

 先日、その寄付団体に連絡を取り、今日、引取りに来てもらった。
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 この積載車に載せられているポンコツは路上で壊れて放置された車である。

 寄付に必要な書類は、車の名義を変更した後にDriver and Vehicle Servicesから郵送されてきたMotor Vehicle Titleという、所有者を証明する書類だけである。

 その紙切れを引き取りに来てくれたおじちゃんに渡し、その代わりに寄付をしたことを証明する書類をくれた。後日、この車がそれなりの値段になることが分かり次第、税金の控除に使うための書類が郵送されてくることになっている。たぶんこないけどね。

 さて、手続きは簡単に終了し、念のため、おじちゃんに給油口が壊れていてガソリンが漏れる危険があるから気をつけてねと言っておいた。でも、おじちゃんは”あっそう”って感じだった。たいしたことじゃないらしい・・・。

 積載車の荷台にはすでに車が載っているのでどうするのかと思ったら、この積載車の下からT字型のアームが出てきてそれで赤い奴のフロントタイアを持ち上げてあっという間に帰って行った。見事なもんだ。しかし、フロントタイアを下から引っ掛けているだけで、固定もしていなかったので、段差を乗り越えて赤い奴が跳ねてしまうと外れるんじゃないかと思ったが。

 ちなみに、レッカー費用は無料。こちらの出費は一切無し。

 これも、ミネソタには大量のポンコツが走っている理由だと思う。

 路上で壊れてしまっても、この団体に連絡すれば24時間以内に無料で持って行ってくれるのだ。

 まさに乗り捨て。


 さて、これまで何度か車を手放したが、そのたびに寂しい気持ちになっていた。

 でも、今回は全く寂しさは感じない。むしろ、寄付をしていい事したなーと満足感さえ感じる。

 しかし、この赤い奴にはいろいろと世話になった。

 渡米直後の家族の移動手段として活躍し、アメリカの自動車免許の試験を受けに行くのにもこの赤い奴を使った。

 そして、今、まるで ”役目はもう果たしたよね。おやすみ。” といわんばかりの時期に壊れた・・・。

 この赤い奴、私の前のオーナーは日本人だった。日本人が3人ほどこの車を中古車として乗り継ぎ、そして私の代で処分することとなった。これまで先代オーナー達のアメリカ生活を、このぽんこつは支えてきたんだろうなと思うと、不思議な気分にもなる。

 ありがとう、ダッジ君。そして、さようなら。