やっと金曜日が終わった・・・

 9月16日、晴れのち雨

 やっと金曜日。

 今週も定期手術と緊急手術に明け暮れる日々だった。

 こうして一週間が終わって思うのは、”ふざけんなよ!!!”って気持ちよりも”感謝の気持ち”である。

 手術を手伝ってくれた若き外科医、先輩外科医、麻酔科医の諸君、手術場と病棟の看護師諸君に感謝の気持ちを伝えたい。

 夜中や早朝に緊急手術を終えても外科病棟の看護師さんが嫌な顔一つせずさわやかな笑顔で手術室まで患者を迎えに来てくれる時、この職場で働ける事にありがたみを感じる。

 病棟の看護業務も激務であるはずなのに、ため息一つつく事無く術後の患者を手術室まで笑顔で迎えに来てくれた看護師さん達の姿を見るとなにか神々しい姿に見えてくるのだった。

 当然、我々日本人外科医としては世界最高の手術を行い、術後の経過は完璧であるとはずと確信してはいるのだが、それを信頼し、ともに力を合わせて働いてくれている皆さんの献身的な姿勢を見ていると自分の精神も律する必要があるかもな、なんて思うのだった。

 だけどね、俺は ”献身的に働く” ってのが大嫌いなんだよ。

 ”献身的”、”自己犠牲”、”医は仁術”って考えと姿勢で日本の医療従事者達が頑張っちゃったせいで今の日本の医療行政は医療従事者(特に勤務医や病院関係者)にその”献身的業務”を当然のように強要し、医療従事者が自己犠牲を払って頑張れば頑張るほど、皮肉な事に労働環境は過酷な物になるんだわ。

 先日、深夜に緊急手術をしていて看護師さんに話を聞いた。

 私 ”ねえ、こんな深夜に働いてくれているけど、今日は当直業務なわけ?”

 看護師 ”いえ、違います。でも、手術場当直の看護師も他の手術に入っているので日勤の私達も働かないといけないんです。”

 私 ”え!!!日勤なの!!!、???。 なんで、日勤の人がこんな深夜まで働かないといけないわけ????? だれか代わりがいるんじゃないの?”

 看護師 ”????? !!!!! いませんよ!!! 先生!!! もっと人を増やせって言いたいんでしょ!!! でもね、管理職の人たちから言われたんですけど、今の人数で十分だそうですよ。”

 私 ”やっぱりそうか・・・。あのなあ・・・、君たちが ”がんばっている” から ”今の人数で十分だ” って話になるんだよ。もうさ、頑張るのをやめようよ。頑張った先に何があるんだよ。普段は頑張らなくても、ちゃんと患者の治療や手術が出来るような環境を作るべきだと俺は思うんだけど、どう思う???。普段からへろへろの状態で働かされていて、もしも大災害が起こったらどんだけその状況に対応出来ると思ってんの???”

 看護師 ”そうですよ!!! 私もそう思います。”


 国民の皆さん。

 医療従事者(医師、看護師たち)が日常業務ですでに過労状態にある日本の医療をどう思っているんだい???

 それでも、医療には金を払う気にはならないか?????

 癌やその他の致死的な病気になっても毎月、たったの数万円ぽっきりで治療を受けられる日本がいかに異常か未だに理解出来ないのか?(アメリカで手術を受けたら数百万円か数千万円するんだぞ!!!)

 あんたの命はそんなに安いのか?

 アメリカでは普段から超高額の医療保険を購入している人だけがまともな医療を受けられるんだぞ!!!

 日本のように毎月数千円、数万円なんてちんけな健康保険しか払っていなかったらアメリカではまともな医療は受けられないんだぞ!!! まともな医療を受けたかったら数百万円、数千万円の自腹で受ける事になるんだぞ!!! って事を知って欲しい。

 なんだか、民主党政権が愚かな政治を行い、官僚達も小賢しいような医療行政を行っているが、我々医療従事者から言わせてもらうと、”いい加減、堪忍袋の緒が切れるぞ!!!”って状態なんだわ。

 そう、普通の人だったらとっくの昔に堪忍袋の緒が切れているわけなんだけどね。

 そろそろ、全国の医師を動員してストでもしますか???

 心を鬼にして。

 未来の為に。