週末を満喫、そして人生

 2月12日、晴れ、時々曇り

 ああ、素晴らしきかな週末。

 今日は朝から子供達のスポーツイベントがあったので、それまでに仕事を済ませようと早朝に病院に向かう。

 そう、こんなときでも出勤して朝回診を行うわけだよ。日本の外科医ってのは。

 全員、術後経過良好!!!

 まあ、この神戸、我々の病院よりも規模の大きい病院や新しい病院がいくつかあるんだけどね、うちの病院のレベルはかなり高いんだよ。

 内科、放射線科、麻酔科、外科、どの科をとっても世界に胸を張れるレベルにある。

 でもね、ホームページのうたい文句や、病院の規模にだまされる人が多い。

 まあ、確かに一般の人は病院や医者を選ぶ時にそういった情報に頼るしか無いんだと理解するしかない。


 さて、朝回診を終えて帰宅し、家族揃って出かける。

 長女、次女、フィールドを駆け回る!!!

 最高に楽しかったようだ。

 子供達が元気にスポーツに興じる姿を見ていると本当に嬉しくなってくる。

 笑顔。

 すてきな笑顔。

 その笑顔を見ているだけで、父さんは十分幸せだよ。


 そして、帰宅し昨夜の残り物の天ぷらを使って天丼を作って昼食とした後、ユニクロに服を買いにいった。

 今、私の前でユニクロで買った温かそうな服(ヤギの毛ような生地のフリース)を着て長女と次女が遊んでいる。

 その姿はまるでヤギ・・・。人の言葉をしゃべるヤギ。



 アメリカに行く前は、なんだか知らんが外車も好きだった。服も少々お高いブランドを着ていた。

 でも、アメリカに行って目が覚めた。

 虚栄心、見栄。

 そんなもんいらない。

 こうして笑顔に囲まれて生きていられるだけで十分じゃないか。

 強く、逞しく、自分に自信を持ち、日本人である事に誇りを持ち生きていく。

 それが私の人生です。


 話は変わるが、学生時代の同級生が、ご実家の病院を継ぐ為に大学病院を退職するそうな。

 とても強く、優しく、頭の良かった彼。

 ご両親も安心だろう。

 そう、俺たちもそんな歳になったんだな・・・。

 そして、少々、お別れ気分になった私たちは、彼の輝かしき未来を祈り送別会をする事になった。


 私には継ぐべき病院もクリニックも無い。

 そして三度の飯よりも手術が好き。

 そんな私はここ神戸で勤務医として手術三昧の人生を送る事を選んだのだ。


 人にはそれぞれの人生がある。

 先日、大学病院で働く先輩(以前、アメリカで医者として働いていた人)と話をしていてこう言われた。

 ”なあ、アルマダ君。人がどう思うかなんて事は関係ないよな。(自分がすすむべき道、するべき事に関して、)良いかどうかの判断はすべて自分がすれば良いんだよ。自分が良いと思う事をやれば良いんだよ。人がどう言おうが気にする必要は全くない。そう、自分を信じてやっていけば良いんだ。だから俺はアメリカに行って働いた。反対する人もいたよ。でも、それで良かったと過去も現在においても確信しているんだ。そのおかげで、今、大学にいて他の誰にもできないような仕事が出来るんだ。そう、俺は”普通”じゃない。だから君も、自分が良いと思った事をしたら良いんだ。やりたい事をやれば良いんだ。”

 先輩、ありがとうございます。

 私も同じ考えです。だから、外科医になり、働きまくり、周囲の反対を押し切ってアメリカに行き、そして再び日本で外科医として働いています。

 当然、これまでの道のり、両親や兄弟、家族を含め、応援してくれ支えてくれた方々のおかげで無事乗り切ってきました。皆さんの支えがなければ、うまくはいっていないでしょう。

 特に、それなりの収入がある外科医の職を捨てて渡米する事を決めた時、”なんで今の給料を捨てて、安い給料で働くのか理解出来ない。”と言った人もいますが、私の身近な人たちは皆、挑戦者、冒険者、先駆者としての精神を持ち合わせてくれていたおかげで、応援してくれ、さまざまな面で支援してくれました。

 そんな私の人生を共有している、妻や三姉妹が今の引きこもりがちな”普通の”日本人達とは違い、外へ出て戦う勇気を持ち、逞しく生きてくれる事を期待しています。

 そう、”リスク” は ”恐れるべき事” ではなく、”覚悟すべき事” です。

 この限りある命の炎をどう燃やすか? そんな事を日々考えています。