数学かもしれない
2月27日、晴れ
風が強い。
平坦路を普通にこいでいても心拍数が150bpmを超えてしまう。
車やオートバイに乗っている人から見ると、あんなに必死こいて自転車をこいでいるのに遅いね・・・、って感じると思う。
これが自転車の良いところ。
自然との調和、そして自然との闘い。
さて、外科医をしているとその仕事のほとんどはルーチンワークである。
大抵の疾患に対する手術は、手技が決められていて、いや、手技を自分で決めていて、術前も術中も特に迷う事なく、淡々とこなす。
ただ、時々、普通じゃない病気と出会う事がある。
CTなんかを見て、”??? これってどっからとったら良いの???” って思う事がある。
そう、珍しい病気に出会う事がある。
こんな時、私はわくわくする。
普通じゃない病気。
如何に温存するべき臓器を温存し、とるべき物をとるか。
まるでパズルを解くかのよう。
そう、高度な数学の問題に取り組んでいるよう。
好きだったなー、数学。
大学受験の時に、数学の問題の解き方が3通りすぐに頭に浮かんだので、その3個の解答を解答用紙に小さな文字ですべて書いたな。あれって合格する為には全くの無駄なんだけど、たまらなく楽しかった。
さて、今の仕事は数学者ではなく、外科医。
これまでの経験。解剖学の知識。教科書や各種文献。
それらを用いてoperationを組み立てていく。
ただ、それを切除するだけではない。如何に、術後の機能を温存し、愛護的な手術を組み立てていくか。
うーん、最高だ。
若者達よ、外科の世界に来ないか?
それと、いつも思うんだけれど、本当の小心者、ビビリは外科医になってはならない。
私は術前にはこれでもかというほど、手術のシュミレーションをこなす。
普通じゃない手術をする前の夜なんか、夢の中でもその手術をしている。
そして、実際に手術をする前にはすでに勝負はついている。
そう、常に攻めの姿勢でこの仕事をしている。
行き当たりばったりの手術はしてはいけない。
日本人外科医でも患者にこんなことを言う人がいる。
”まあ、開けて(開腹して)みないと分かりませんから。開けてみてそれに応じて手術を考えます。”
一昔前ならこれで良かったろう。
しかし、今は画像診断の精度が過去と比較して格段に向上し、開けなくてもその状況が分かるようになった。
プランA、プランB、プランC。
高精度な画像から読み取れる情報をもとにあり得る状況を可能な限り想定し、それをすべて細かく患者に説明するべきだよと思うのだが、どうだろう。