社会保障

 5月29日、突然の大雨と雷

 今度は梶原か・・・。


 金持ち芸人の親の生活保護・・・。

 ネットでは様々な意見が出ているが、気になるのは河本擁護、片山批判をする人々。

 これらの主張を展開する人は、ちょっと世間知らずというか、今の日本の社会保障制度の異常さとそれがこの日本国に及ぼしている絶望的な危機をちっとも知らないんじゃないかと思う。

 そう平和ぼけしている。

 片山さつきがなぜ今・・・、ってのは気になるところではあるが、彼女が今回の件をきっかけに生活保護の不正受給がはびこっている事を世間に示してくれたのは大いに歓迎すべきだろう。

 生活保護は本当に必要な人にだけ適切な額を支給するべきであって、そうでなければ生活保護はただのあくどい奴達の為の便利なATMでしかない。

 その生活保護の受給審査がざるのように甘い現状。

 あまあまの生活保護、そしてあまりにも手厚く自己負担の少ない今の日本の医療に完全に依存しきってそれが当然としか感じられない人達が片山さつきを批判しているんだろう。


 医療現場の最前線で働いていると考えさせられる事があまりにも多い。

 もう社会貢献などする余地もないほど年老いた超高齢者に年間1000万もかかるような抗癌剤を投与し1年間死期をのばす、これが現代の日本の抗癌剤治療の一面。しかもその超高齢者達は1000万円の医療を数万円から数十万円で受けられるのである・・・。そして、1000万円の費用のほとんどは製薬会社のもうけである・・・。医療現場で働く者たちはおこぼれをいただくのみ・・・。

 日本が先端の抗癌剤の治療で遅れているなんて話があるが、世界的に見てもこれほど高額で効果のあまり期待出来ないような抗癌剤がぞくぞくと保険適応になっている国はめずらしい。

 そんな抗癌剤でもしないよりはした方が数ヶ月でも長く生きられる(抗癌剤の中には無再発生存期間は延びるが全生存期間はまったく良くならないっていう超高額の抗癌剤もある・・・)というのならば、しかも保険適応で高額療養費制度で自己負担がすくないから患者やその家族も抗癌剤治療を希望する。


 考えて欲しい。

 生活保護などなくても生きていける、生きていくべきやからがあーだこーだと理由を付けて受給するとこの国はどうなる?




 生活保護とは異なる話だがもう一つ質問をしよう。

 88歳の親が末期がんになり抗癌剤を使わなければ88.5歳で死ぬ。抗癌剤を使えば89.5歳で死ぬ。1年間の抗癌剤のコストは全体で1000万円、自己負担はたった数十万円。当然その差額は保険や税金で補われる。

 あなだたっだら親に対するその抗癌剤治療を希望するか???

 するだろうな。私でも希望するだろうな。

 しかし、1000万円の抗癌剤が全額自己負担だったらあなたはどうする???


 何が言いたいかお分かりだろうか???

 日本では保険制度はすでに破綻している。

 保険料を元手にその給付は決定、制限されるのが当然なのに、保険料に税金を大量に追加して給付されているという異常きわまりない状態になっている。天然資源に恵まれた某国じゃあるまいに。

 それを高齢者のため、弱者のためと言い続ける気か?

 それがこの国を亡国へと向かう航路においている事に気がつかないのか?

 医療経済的にも、精神性に置いても。


 平和ぼけした奴らにはこれらの話は全く理解出来ないだろうがな・・・、それでも・・・。


 とある傾向がある。

 口うるさい息子、娘に限って入院中の親の付き添いをしたり面会をしたりしないのである。

 口を出しても金は出さない。口は出してもその身は削らない。

 え? 仕事が忙しい?

 そうだよね。

 病院に入院させていてもあんまりお金かかんないもんね。仕事をしてる方が良いよね。お金が入るもんね。

 アメリカみたいに入院1泊あたり数十万円もかかんないもんね。

 よかったね、日本で。



 一方、親に付き添い頻繁に面会に来る娘、息子達。

 こちらの医療がいかに優れているか、しっかりと親を見てくれるかをその身を以て知っているからふざけた減らず口はたたかない。


 いや、全員がそうじゃないか。

 ”遠方に住んでいて滅多に来られませんが、どうぞ先生、父をよろしくお願いします。信頼申し上げております。”って息子さんもいるもんな・・・。


 思うんだけどさ。

 親が病気でも仕事を休めない。

 休んじゃったらリストラされるかもしれないなんて不安を抱くような社会って、今のこのふざけた高度医療、高福祉、超低負担の社会保障制度が生んだんじゃないかってね・・・。

 そういう意味ではあんたも被害者か・・・。