向き不向き。人それぞれ。
12月13日、晴れ
朝起きたら、のどがめちゃくちゃ痛い。
うーん、風邪か・・・。
さて、この歳になってくると、自分に出来ること、向いていること、そうではないことが分かってしまって少々寂しいような仕方ないような・・・、そんな思いを抱くことが多い。
以前も書いたことがあるかもしれないが、私はtone deafである。
ピアノやギターを上手に弾いている人をみるとかっこ良くて、羨ましくて自分もなんとかやってみたくなるが、これまで楽器をいくつかやったがどれもものにならなかったので、今はあきらめてしまっている。
諦めるな!!! って娘達に言っているのに、当の本人は諦めてしまっていることが沢山ある。
たとえば、洋服のことが良くわからない。
家族で買い物に行ってもどうも自分一人もりあがっていない・・・。
妻や三姉妹は。
”これいいねー! これもいいよー! でも、これはちょっとねー” と盛り上がっているのだが・・・。
私にはその違いが分からない・・・。
妻に、”ねえ、これとこれ、どっちが良いと思う?” と聞かれても。
私 ”・・・、ごめん。よう分からん。どっちでも良いような・・・。いや、あの、疲れてるとか退屈してるとかじゃなくて、マジでよう分からん。” としか答えられない。
こんな調子なので、私の普段着はそのほとんどがユニクロで、ちょっとかっこいい服は妻が買って来てくれた服である。
こんな私ではあるが、自分に向いているなと思うこともある。
それはずばり、手術である。
例えば、消化管の手術。
そう、胃癌や大腸がんの手術。
それには消化管吻合が必須であって、そのできばえによって術後がうまく行くかどうかが決まる。
縫い方一つをとっても、何mm間隔で縫うかなど様々な要素がある。
biteとpitchと我々は呼んでいるが、それがあえて意識しなくてもうまくできる。
それがうまく行かなければ、縫合不全になって術後に吻合部が外れてしまって腹膜炎になったり、biteが大きすぎれば吻合部が狭窄して食事が通らなくなって困ったりするが、それが無い。
自慢する訳ではないが、外科医になって十数年が経つが、手縫い(糸と針を使って腸を縫うこと)をして縫合不全を来したことは一度もない。
さらに、車のチューニングやドレスアップ。
これにはかなりのこだわりがある。
友人に ”どっちが良いかな?” と聞かれたときも、”こっちがいい” と即答していた。
自転車にしてもそう。自分なりの理論と感性があって、その善し悪しを即座に説明することが出来る。
普段着には無頓着でかなりダサイが、サイクルウェアにはかなりのこだわりを持つ。
車のチューニングやエアロパーツ、自転車のサイクルウェアは見た目だけでなく、”機能性” を併せ持つ必要がある。
その機能美を異常なまでに重視し、こだわっているように思う。
たぶん、ドイツ人には分かってもらえると思う。
そう、見た目だけではなく、そこに機能性という要因が加わった時には異常なまでにこの脳は動き続ける。
外来で先日私がとある消化管の癌の手術をして軽快退院した患者さんを診ていた。
患者さん ”凄く調子がいいです。ご飯もびっくりするぐらい良く食べられるんですよ。友達も、”あなたほんとに癌の手術したの? 信じられないぐらい元気じゃない。きっと良い先生に手術をしてもらったのね” って言ってましたよ。ありがとうございます。”
恐縮です。
これからも確実、丁寧な手術を心がけていきます。
実は、その確実で丁寧な手術の方が手術時間も短いんです。
そして、術後合併症の発生率も全国平均を遥かに下回ります。
それが、私の、そしてうちの病院の手術です。
さて、今年も残りわずかです。
一網打尽の勢いで手術しましょう。
ただ・・・、その前に、この風邪をどうにかしなければ・・・。
今、葛根湯を飲みました・・・。