Justify と ”今でしょ!!!”
3月22日、雨
外に出ると杉の匂いなのか、森の中にいるような匂いがする。
花粉が舞っているってのが匂いからも分かる。
さて、表題の件。
こんな事を書くのは非常にためらわれるのだが、書いてみたいと思う。
そう、Justify。
そう、正当化。
これはとても大切な言葉、概念だと思うが、間違って使われると社会の混乱を招く。
例えば、夜間オンコールで当直の先生から急患に関しての相談の電話がかかってくるとしよう。
当直医は緊急手術が必要なのではなかろうかと思いつつ電話をかけてくる訳だ。
そこで、相談を受けた我々外科医は緊急手術が必要だと判断して即座に駆けつけるか(この様子はこのブログでも何度か記事にした事がある)、緊急手術は不要で保存的治療、または待機的手術での対応が望ましいと判断してその旨、当直医に伝える場合とがある。
この判断には非常に高度なスキルが要求される。
若い奴ら(まだ未熟な外科医)はとりあえず患者の状態が良くわからなくて判断できないのですぐに病院に駆けつけて自ら診察して上級医に電話をかけて判断を仰ぐ必要がある。
一方で、我々のような決して若く無い外科医は、当直医に患者の状況を詳しく聞いて判断する訳だ。
自慢する訳ではないが、日本に帰国してからこの判断を誤った事は一度も無い。
判断を誤る=患者に不利益を及ぼす、という定義で話をしている。
たとえ、緊急手術ではなく待機手術を選択し手術が(緊急手術を選択した場合と比較して)数時間や数日後になっても患者の治療経過に悪影響を及ぼす事は無く、むしろ順調な経過を及ぼした事しか無い。
そして、本当に緊急手術をするべき患者にはためらう事無く、すぐに病院に駆けつけて手術をして来た。
そう、EBMを実践して来た。
その一方で、緊急手術をするべき患者に、”とりあえず良くわからへんから、経過を見る為にも保存的に治療しといてや” と言う人がいる。
それは知識不足というか、怠慢というか、それ以上の表現をしたく無い状況である。
そして、緊急手術をするべきである患者の状態は悪化し、夜が開けてから再度、内科医から緊急手術の要請が外科医に伝えられる。その時点では超ベテランの超有能な内科医も治療に参加している訳で、緊急手術が必要である事は疑いの余地もない状態となっている。しかし、保存的治療をしといてくれと言った医者は、会議があるからと治療への参加を言葉巧みにかわして、若き有能な外科医にすべてが押し付けられたのだった。
会議と手術とどっちが重要なんだよ!
あんたは何の為に、医者をしてんだ???
そして、自らの過ちを正当化するべくその頭脳はフルに機能し、その口からはexcuseがたらたらと発せられ、必死に周囲を味方にするのであった。
誤解を恐れずに言わせてもらおう、世渡り上手な医者は大抵、患者を不幸にする。
やるべき時に手術をせず、助けられる命を失う。
または下手な手術をして、患者を窮地に追い込む。
それを言葉巧みに言い訳しまくってうまく世渡りしていく。
情けない。
まるでシナ人と同じだ。
この外科医って世界は、死に行く患者の命をこの世に繋ぎ止める為に、この身を削って、命を削って、自らの家族を犠牲にして生きていく修羅の世界であって、”仲良しクラブ” じゃねえんだぞ!!!
そして、その組織のトップに立つ人間は絶対に ”裸の王様” になってはいけない。
さて、その一方で、後輩でもある若き優秀な外科医は素晴らしい。
今日も、一緒に仕事をしていたが、良かった。
若き外科医 ”今、これ以上様子を見ていてもだめですよね。やる事をやらなきゃ。何時やるって? いまでしょ!!!”
Armada ”俺もそう思うよ。今しなきゃいけない。後手に回ってはいけないからね。”
その適切な判断をする為に、日々、自らの知識をupdateするため、論文を読みあさり、新しい知識を身につけるのだよ。
それを若き優秀な外科医は実践してくれている。
それが本来の医者の生き様だ。
そう、”今でしょ!!!”ってドヤ顔で言えるほど勉強してなきゃね。
無性に腹立たしくてこんな記事を書いてしまったが、これで明日からの診療がより良くなる訳ではなく、ただ地道に自分のするべき事をしようと思う。
One more thing.
このブログ記事を読んで勘違いしてもらっては困る。
この病院ってヤバいんじゃねえ、とか日本の医療ってこんなもんか!ってね。
言わせてもらおう、ここに書いた内容は世界最高の医療を提供して来た生粋の日本人外科医の見解であり、我々の組織はアメリカやその他諸外国よりも遥かに優れた治療を結果としては患者に提供しているってことを。
俺たち本物の日本人外科医はどこまでも自分に厳しい。
そして、我々が提供している手術、医療は諸外国のqualityを遥かに凌駕しているのは間違いない。
これがサムライの国の外科医の世界だ。
だた、世の中にはどうしようもないクズ外科医の集団が存在している事も事実。