ぐずぐず言わずにやれ!
4月17日、晴れ
”ぐずぐず言わずにやれ!!! やらなきゃ、その患者、死ぬぞ!!!”
!!!!!!!!!
上記の発言は実際の医療現場でなされたものではない。
仕事から帰って来て一息つきつつテレビをつけたら恐ろしいテレビドラマが放送されていた。
そう、それは雲の階段
とある診療所の医者の大友康平が九州に出張に行くと言い残しなぜか東京に行く。
その医師不在の診療所に子宮外妊娠・出血性ショックの若い女性が運び込まれる。
そしてこう言われる。
手術をしろと・・・。
そして、つべこべ言っているとさらにこう言われる。
”ぐずぐず言わずにやれ!!! やらなきゃ、その患者、死ぬぞ!!!”
えーーーーーーー、うそだろ・・・。
そして、なぜか診療所の看護師も手術の準備をして事務員の長谷川博己が執刀する事になる。
医者もいないのにそのショック状態の急患は見事に挿管され麻酔がかけられ眠っている・・・。
いったい誰が麻酔をかけたんだ・・・・・・・・。
もう、医療系ドラマというか、ホラーでしかない。
そして長谷川博己が開腹する。
腹膜を切った瞬間、大量の血液が腹腔内から溢れ出す。
そう、腹腔内大量出血の場合こうなる。
そうそう。
で、どうするかだが、我々本物のプロは出血源を手探ででも見つけて出血を止めるのだが、長谷川博己は完全に慌てふためき、”タオル”を腹腔内に詰め込み始める。
ガーゼパッキングって手技はれっきとした治療行為ではあるが、長谷川博己はただのパニック状態。
出血が続き、もう患者は助からないから手術は途中でやめようってことになって手術は終了する。
ああ、この患者は死ぬな・・・、って状況なのになぜかうまくいき患者は助かる・・・。
ありえねえ。
あり得ねえ事をドラマにするなよ・・・。
また、愚民が誤解するだろうが。
って毒づきつつもなぜか次回もみたくなった。
日本の医療系ドラマで次も見たいって思ったのは久しぶりだ。
なぜならばこれはまともな医療系ドラマではなく、サスペンスでありホラーだからだ。
さて、最近も手術に明け暮れる日々。
私も”ぐずぐず言わずにやれ!!! やらなきゃ、その患者、死ぬぞ!!!”って言いたくなる時が極まれにあったが、”ぐずぐず言わずにやれ!!! やらなきゃ、その患者、死ぬぞ!!!”って言われないようにがんばろ。
だって俺たちは本物のプロフェッショナルなんだから。
”ぐずぐず言わずにやれ!!! やらなきゃ、その患者、死ぬぞ!!!”って言われるような状況になった事は外科医になってから一度たりとも無いけどな。