インフルエンザ

 9月22日、ミネソタ曇り時々小雨。

 今日は早朝から仕事のはずだったが、朝起きてメールを確認すると、若いスタッフBから”数人が病気のため、今日の予定は中止します”って内容のメールが来ていた。今日の仕事のうち半分がキャンセルされてしまった。

 さてそれならと定刻に出勤。今日は寒かった。外気温は16℃だったが、空全体が雲で覆われていて日差しが弱い。なんだかいよいよこのまま寒くなって極寒の冬が訪れるような気がする。

 職場に着くと仕事をしている人がなんだか少ない。出勤していたスタッフに誰が病気なのって聞くとなんとBだった・・・・・・。メールでは自分の事は全く触れず、”There are a few people sick today.” と書いていたのに自分が調子悪いなんてね。これも彼なりの気配りなんでしょう。彼以外に、もう一人調子が悪くて休んでいた。

 症状は発熱と咽頭痛。下痢と嘔吐を伴っている人もいた。これってインフルエンザの症状に当てはまるよな。H1N1の可能性もある。

 そして長女が通う小学校からお手紙が来ていた。クラスでインフルエンザ様の症状が出ている児童がいるからご注意くださいと書いてある。


 さて、私の職場のインフルエンザ対策はどうなっているのだろうと思い、今日調べてみた。


 9月15日付でミネソタ大学から以下のメールが届いていた。

 9月16日、23日、30日に通常のインフルエンザワクチン(seasonal flu vaccine)の接種を行います。この接種は大学関係者および、その扶養家族を対象にしたもので、18歳以上が対象となります。大学関係者には無料で接種します。
 H1N1のワクチン接種も同様に提供される予定になっていますが、まだ未定です。H1N1のワクチンが使用可能になり次第、接種を開始します。


 そして今日、大学から送られてきたメール。

 予想外に、通常のインフルエンザワクチンの出荷が遅れているため、9月23日、30日の予防接種は中止します。入荷は10月になる予定です。インフルエンザが流行する時期には間に合います。
 注意:通常のインフルエンザワクチンはH1N1インフルエンザには効果が期待できません。

 てことで私もまだ予防接種をしていません。


 では、ミネソタ大学としてはこれ以外にどのような対応をしている、もしくはする予定でいるのかをいくつかご紹介。

 まずこれミネソタ大学Boynton Health Serviceのページ。インフルエンザだけでなくいろいろな情報が掲載されています。

 そしてインフルエンザ予防接種の予定等が書かれているページFlu Clinics and 2009 H1N1 Flu

 職員向けに書かれたページMessages for University Employees。ここには予防法や症状、発症時の対処法が比較的詳しく書いてある。

 特にこのUniversity of Minnesota Pandemic Influenza Response Planは必見。新型インフルエンザがパンデミックに発展した場合等の緊急時行動計画が記載されている。32ページに及ぶもので読んでいると結構勉強になる。

 アメリカ人って結構マニュアルを作るのが好き。うちの職場でも日々マニュアル作りが続けられていて、どんどん詳しく分厚くなっている。私も4月に赴任したとき、5cmぐらいの厚さのマニュアルを5冊ぐらい読まされた・・・・・。そのときはすっげーなーアメリカって思ったけれど、実際に仕事を始めてみると、なんとも中途半端なマニュアルで、かゆいところに手が届かないことに苛立ちを感じることが多かった。 ちなみにこのマニュアルはstandard operating procedure SOPと呼ばれている。

 今回の緊急時行動計画のマニュアルも記載内容は大量だけれど、読んでみるとどうなのこれ?ってところが沢山ある。まあ私も流し読みしかしていないので詳細は語れない。

 さてそれなら私の母校はどうなのってことで母校のホームページを覗いてみたら、こんなのを見つけた。


新型インフルエンザ発生時の対応(暫定版)
 いったいつ作られたのか作成日が記載されていないが、4月30日付けの発表なのでそれ以前に作成されたものでしょう。内容を読んでも、具体的な対応策が書かれているわけではなく、いまいちな感じです。一番問題だと思うのが、大学として具体的にどのような医療を提供するのか全くかかれていません。”大学に報告する”とはかかれていますが。

 ちなみに新型インフルエンザ対応6まで存在しています・・・・・。

 そしてこれ
 インフルエンザに罹患した場合などの授業等の取扱い(公欠,休講)について
 なんとか母校のインフルエンザ対策状況を探してみて見つかるのがこんなページ。軽くむかついてきましたね。

 この後、大学病院のホームページを覗いてみたけれど緊急行動計画は見つけられず・・・・・。

 私の検索能力に問題があるだけで、もしかしたらどこかにあるのかもしれません。


 さて日米の違いをひとつ。

 日本:下熱後2日間は学校へ行かないこと
 アメリカ:下熱後24時間は学校へ行かないこと

 私は日本の方針に賛成です。下熱後3日間程度、感染性を持つウイルスが咳から検出されたというデータがあります。



 日米の比較は簡単には出来ませんが、ひとつだけ言いたいこと。

 日本の大学病院よ!もっと市民の教育に力を入れよ! そして地域医療を牛耳る立場を生かし、明確な緊急時行動計画を立案せよ!

 まあ、普段の診療だけでいっぱいいっぱいの人材しかいない、大学病院では無理か・・・・。 未来の大学病院に栄光あれ!!

 もっとね医療費が増えて、医者が余裕を持って仕事ができる環境になれば、いい人材を沢山そろえて、いい治療や市民教育が出来るんだろうけどな。

 いまの日本の医療制度ではまあ無理だわな。

 アメリカではね、日本の3倍の給料をもらっている外科医が、2ヶ月ごとに1,2週間休暇をとって遊びに行くなんてのは常識なんだわ・・・・。1年間で言うと2ヶ月ぐらい有給が取れるんだ・・・・・。

 日本の医師の皆さん、がんばってますね。その皆さんの頑張りが、今後の日本の医療をよい方向に変えることを期待しています。

 今、アメリカに来て思う。日本では医師や看護師等の医療関係者ががんばりすぎたせいで、こんなつらく苦しい医療制度が生まれ、さらにがんばったせいで、良質の医療が安価で提供されるのが当たり前の社会になったんだ。

 アメリカ人医療関係者はそんな時、こう言うんだわ。”契約外だから”って。

 労働基準法ってなんだい?、医者のほとんどが労働基準法違反の職場で勤務してんだぜ!日本では!。

 いまさら”医は仁術です”かい?

 アメリカでは国民は高額の医療保険に加入して、医療を受けている。そしてメキシコやカナダでは国が高額な医療費を負担して国民に医療を提供している。当然、国庫は、国民の税金や国営企業の収益でうるおっている。

 じゃあ日本はどうなんだ。国からの医療費負担は先進国の中でも低水準に限定され、破産する病院も増えている・・・・・。

 ちなみにアメリカで子供たちのかかりつけの小児科クリニックにはなんと10人も小児科医が勤務している、そして外来が混雑するって事もない。それでも破産しないんだわ。

 医療に関しては各国が問題を抱えているが、いずれにしても日本の医療関係者は世界的に見ても最も安価な賃金で、激務に耐えているのは事実だ。

 まずぞえ よういちさん、あんたはいったいなにをした? ながつま あきらさん、これからどうするつもり?

最近、若きインド人の秀才(あたまでっかち?)のMが私にこう助言する。

 ”そんな無茶な依頼を引き受けてはいけないよ。一度引き受けたら、その無茶な仕事をするのが当たり前になって、さらに無茶な仕事を依頼されるよ。それを繰り返していると、いつの間にか奴隷のように働くことになるんだ。プライベートも何もない、仕事の奴隷だよ。まあ、そうしたいのなら、そんな人生を送りたいなら、それでいいよ。あなた次第だよ” ってね。

 ありがとねM、心配してくれて。仕事の依頼を断るってね、日本人にはなかなか出来ないことなんだ。だからみんな、奴隷のように働くんだよ。プライベート?、そんなもん人生において存在してないよ、日本の医療関係者には。家に帰ったら寝るだけだよ。バーベキュー?フィッシング?キャンピング?ハンティング?・・・・しないね・・・・・。サマーバケーション?、3日間休暇をとることがサマーバケーションだって認めてくれるなら、日本の医療関係者もサマーバケーションとってるよ。え?3日間?それは休暇じゃないって?・・・・・・・・・・。来月から1ヶ月間休暇でインドに帰るの?。そう、おめでとう。しっかり楽しんできてね。その間、君のしている仕事を俺がすることになってるって?・・・・。そう、がんばるよ。