しし座流星群

 11月17日、ミネソタ晴れ

 しし座流星群見られましたか?

 さて、昨夜のしし座流星群観測 in Minnesotaについて。

 昨日の朝から急遽見に行くことを決めたのでどこに行けばいいかわからないし、撮影器材も準備していなかった。

 しかも、天体写真は今まで撮影したことが一度も無い・・・・・・。カメラの設定をどのようにすればよいかも知らない・・・・・。

 なので仕事から帰宅後、急いで調べ始めた。

 参考にしたサイトの一部がこちら。


 先ほどのサイトの中の一文

「天体撮影に使う一眼デジカメは、現在キヤノンの『EOSシリーズ』がほとんどのシェアを占めています。長時間露出時のノイズが少ないことが最も大きな理由ですが、天体に向いた機能が付属の『EOS Utility』に実装されているというのもありますね。撮影はノートパソコンとカメラをUSBケーブルで接続し、EOS Utilityを使ってパソコンから露出やシャッター速度などの制御を行って撮影するのが一般的です」

 ほうほう、パソコンとX2を継げばEOS Utilityでカメラの制御が出来るのか。そしてインターバル撮影も思いのまま。

 MacBookとX2を継げばばっちりじゃん。と、このときは思った。そして気がついた。MacBookにはEOS Utilityをインストールしていなかった・・・・・。しかもインストール用のCDは日本においてきてしまった・・・・・・。

 がーん・・・・・。

 こうなったら、DELL Inspiron 530と大きなモニターをアルマダに積み込むか!!!

 その為には電源を取るためにインバーターを買いに行かないといけないし、ちょっとこのでかいデスクトップを運ぶのは現実的ではない。

 さっさとあきらめて、X2本体にある連続撮影でとることにした。これでも10枚続けて撮影してくれる。

 露光時間30秒でとれば、1回シャッターを押せば5分間取れることになる。逆に言えば5分に1回シャッターを押せばよい。何とかなりそう。


 まず結露予防のためカイロをレンズに巻いておく。これH先生の置き土産。ありがとうございます。
イメージ 1


 機材を全てアルマダに放り込み。12時出発。

 目的地はLino lakes。ミネアポリスから車で30分。

 なるべくダウンタウンから離れたところで、北東の方角に町がないところとして選んだのだがそれでもLight pollutionはひどかった・・・・・。

 ちなみにミネソタのLight Pollutionに関する情報はこちら
http://www.mnastro.org/onan/lpintro.htm
イメージ 6

 この地図で暗い色のところに行くべきだったと後に反省することになる。しかし、そうなるとかなり遠くまで行かないといけない。

 Lino lakesに到着。誰もいない。周りに民家は全くないが、遠くに街灯が結構見える。雲は全くなく、空全体が見渡せる。南西にはミネアポリスダウンタウンがあるため、明るくて星があまり見えない。そして湖に囲まれた場所だったためか時々、霧が流れていく。周辺の草木の間から動物の動く気配を感じる。こんな所に一人ぽっちで来た事におびえながら、でもアルマダが守ってくれそうな気がしてそのまま観測を始めた。

 カメラを設置。
イメージ 2


 ピントあわせやらカメラの設定をいろいろ変えてみる。

 ピントを合わせるのがかなり困難。結局、ピントが合っていなかった・・・・・。

 焦点距離18mm、ISO800、F3.5、露光時間30秒で撮ることにした。ちなみにレンズはキットについてた純正レンズ。


 肉眼では7個見ることができた。主に1時から1時半にかけてで、1時半から2時にかけては1個見えただけだった。

 それでも満足。


 しかし、写真には全く写らなかった。カメラを向けている方向にはまったく流星は飛ばなかったのだった・・・・・。

 そして天頂に向けてCanon iVIS HF11を設置していたがこれにも写っていなかった。

 HF11は観測の途中で設置したため18分間しか撮影していない。というのも、天頂付近に非常に明るい流星が見えた(残像が残るほど明るかった)のでこれならHF11でも写るかもしれないと思って設置したのだった。しかし、時すでに遅し。

 外気温-1℃の世界でひたすら1時間半、空を見上げつづけて撮れた写真がこちら。

 オリオン座
イメージ 3


 北斗七星
イメージ 4


 これはRAWデータを現像したもの。
イメージ 5


 初めて星の写真を撮ったけれどとても難しい。素人にはきれいな写真を撮るのは無理?

 天体写真を撮っている写真家の方々のすごさがよくわかった。



 家に帰ったのは2時半。急いで帰りたかったが、途中、道路わきに鹿が数頭いて目があった。

 ”俺たちの仲間をはねるなよ”といわれているような気がしてゆっくりと運転して帰った。



 なんで撮れなかったのだろう、運が悪かったのだろうかと考え続け、こんな計算をしていた。

 カメラの視野が仮に空全体の20分の1(5%)だとすると7回流星が出現したとして1回でも写る確率は?

 約30%

 大雑把に計算してこんなところ。

 写らなかったのもしょうがない。

 ならばこの確率を100%に近づけるためにはどうしたらよいか?

 画角の広いレンズを使う。
 カメラを複数用意する。
 Light Pollutionが少なく沢山流星が見えるところで長時間観測し、nを増やす。

 こんな結論にたどり着いて満足して眠ったのが3時半・・・・。


 おかげで今日は眠かった。仕事中、2回、ミスをしそうになった。すぐにはっと気がついてミスはしなかったが。



 日本にいた頃、とても元気のない弱い細胞を培養し、何とか継代を重ね目標の数まで2ヶ月かかって増やしたことがあった。

 徹夜で当直業務をして昼前に研究室にやっとたどりつき、いよいよ待ちに待った実験を始めようと、細胞にトリプシンをかけてはがし始めた。

 なんだかへん。細胞がなかなかはがれず、はがれたものは不自然に丸く、はじけていく細胞もある。

 変だなと思い染色してみると、ほとんど死んでいた・・・・・。

 原因が分からない。継代しすぎたのか?

 クリーンベンチにおいてあった試薬のボトルを見て気がついた・・・・・。

 トリプシンだと思って使っていたのは抗生剤の原液だった・・・・・・・・。普通は100倍希釈して使用するものを原液でかけたものだから細胞が片っ端から死んでしまったのでした。ボトルが全く同じ大きさでほとんど同じデザインなので間違えたのだった。2ヶ月の苦労がこんな単純なミスで水の泡。

 この仕事に、睡眠不足は禁物です。


 でも、昨夜の一件で、いつか必ず流星を撮影してみたいという思いがさらに強くなったのだった。

 子供の頃から海を眺めるのが好きだった。この海は全世界につながっているから。

 そして空を眺めるのが好きだった。この空は全宇宙につながっているから。

 今、アメリカで宙を眺めている。宙はどこからみても美しい。



 しゃーしーんーには、うつらないー、うーつーくしさーがーあーるーかーらー。りんだー、りんだー。

 以上、負け惜しみでした。



 ちなみにこの映像からも分かるようにTHE BLUE HEARTSのボーカル甲本ヒロト岡山県岡山市出身です。

 わいも、カラオケに行ったらようこの曲、うとーとったのー。


 ここは天国じゃないんだ、かといって地獄でもない。いいやつばかりじゃないけど、わるいやつばかりでもない。ろまんちっくなほしぞらにー、あなたを抱きしめていたい。(by Train-Train)

 あれ?、おれ、この寒空に一人ぽっちじゃない?(って昨夜は思っていた)



 さて、明日も仕事、そろそろ寝よう。あたたかい寝床で。