日本人外科医の暮らし

 6月29日、晴れ。

 

 熱い・・・、熱い・・・。体が溶けそうだ。自宅の昼間の室温は32℃だったらしい。

 

 32度。これが摂氏じゃなくて華氏だったらどれだけ快適なんだろう・・・。

 

 さて、今週は週明けからいい感じ。


 月曜日、起床して8時前に出勤。予定手術を朝から夕方まで行う。すると、緊急手術が3件入る。その3件を同僚の外科医達で手分けして、すべて終了したのが午後9時過ぎ。

 

 さて、帰ろうか。ってわけにはいかない。

 

 そう、当直だったのだ。

 

 そのまま救急外来での勤務を開始する。

 

 朝まで、1~2時間間隔で外来患者を見続ける。そのうち、本当に急患と言えるのは一人だけだった。それ以外は数日前から症状があり、昼は仕事があって病院に受診しづらかったので夜間に来たって人か、なぜこれで救急搬送なんだ???ってのばかりだったのだが・・・・・。いろんな意味で日本国民は病んでいるとしか言いようが無い。

 

 さて、そんなコンビニ救急外来を朝の9時まで続ける。ここまでの25時間、一睡もせず。食事はおにぎりや後輩が頼んでくれた宅配ピザを食べた。

 

 火曜日、朝から予定手術を始める。当直あけの日は正午で帰宅しても良い事になっているが、三度の食事よりも手術が好きなのでそのまま数件の手術を夕方まで行う。

 

 さて、火曜日の夕方、手術をしていたら ”緊急手術が入ったよ” と言う声が背後から聞こえる・・・。

 

 神の微笑みか、悪魔のささやきか・・・・・。

 

 火曜日の昼間にはこう考えていた、”まあ午後もせっかく予定手術が入っているんだからそれをしてから帰ろう” って・・・。。

 

 夕方6時、予定手術を終了する。

 

 妻に緊急手術が入ったので帰りは深夜になると電話する。すると、明るい声でこう言ってくれた。

 

 ”緊急手術って、続くときは続くよねー。無理せずに頑張ってねー”

 

 ありがとよ!!!

 

 そして1時間仮眠してからカップ麺を食べて午後8時から緊急手術。

 

 その時食べたのがこちらのカップ麺!
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 ミネソタ暮らしをしていた頃はこんなカップ麺が高級品で食べたくてもなかなか食べる事は出来なかった。高いし入手は困難だった。

 

 でも、今は・・・・・。

 

 さて、1時間仮眠しておめめぱっちり???って訳でもないが、手術をしているときは不思議と疲労を全く感じない。頭も手の動きもまったく普段通り。やっぱり俺って外科医なんだよな。しかも生粋の日本人外科医なんだよな、と感じた。

 

 そして自宅に帰宅したときは水曜日になっていた。

 

 これぞ、日本人外科医の生活である。


 さて、皆さん興味があると思うのだが、日本では外科医が夜間に手術した場合にいったいどれほどの報酬が外科医に払われているかについて実例を持ってお伝えしよう。

 

 外科副部長である私の時間外労働1時間に対する報酬は約3700円である。なので夜間に緊急手術をした場合、例えば3時間の手術だった場合、外科医に払われる時間外手当は約1万1100円である。

 

 これはアメリカで働く外科医の10分の1以下である。