極寒バイカー

 1月14日、ミネソタ曇りのち雪

 やっと金曜日。なんだか今週は長かったような短かったような。

 今日はデスクワークの日。妻は午後から雪が降るからと言い残し、朝からスーパーに買い物に出かけた。

 私のその後、のんびりと出勤。

 これまで100回以上行った実験のデータのまとめが最終段階に近づきつつある。

 Excelで入力していたデータを統計ソフトで解析できるようにまとめる作業を昨年末から行っていてそれがほぼ終わりに近づいてきた。

 今週行った実験のデータも追加して巨大なシートが完成した。

 これまで、直感から感じていたこと。例えば、この工程は5分でしたほうが良いとか、この試薬の濃度はこの方が良いとか。

 当然、ただ直感から導き出した値ではなく、自分の仮説に基づいて小規模な統計学的解析をいつも行って導き出した結論ではあった。

 そして、今、ついに巨大なデータを解析し、自分の仮説が正しかったことが次々と明らかになっていく。

 かなり満足した。私がした改善、工夫とその元となった仮説のほぼ全てが正解であったことが分かった。しかし、ただ満足しているだけではいけない。これを論文として発表し世界中に向けてこの情報を発信しなければ、私がしたことはただの自己満足に終わってしまう。科学の進歩を促進することにはならない。そんな使命感を感じつつ、少しずつ形にしていっている。

 そう、このデータを得るために使用した研究費は数億円になる。当然、その全貌と最終結論は近い将来、私の大ボスがNatureかScienceかLancetか、超一流の科学雑誌に論文を投稿するだろう。そして間違いなくアクセプトされるであろう。私は、その実験から得た枝葉の部分というか、幹の部分というか、根っこの部分というか、それを論文にするわけである。それを細かく分けて書けば、少なくとも5個は書ける。でも、めんどくさいのでひとつの巨大な論文として書こうとしている。ちょっとインパクトファクター稼ぎで言えば勿体ないが、私はあまり気にしていないので、まあ、いいだろう。

 ただね、最近もオフィスでデスクワークをすることは1週間のうち1日程度しかなく、それ以外は1日中、肉体労働をしているので帰国までに完成させられるかどうかはかなり怪しい。私の帰国日を知ったラボマネージャーが今まで以上に過密な実験を予定してくれたのだ。駆け込み需要か・・・・・・・。


 さて、そんなこんなで気がつけば帰宅時間。同僚達の姿はもうなかった。

 外に出て見るとこんな状態だった。
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 車道には1cm、歩道には3cmの雪が積もっている。今年はよく雪が降る。去年の1月は晴れの日が多かったが、今年はちょびちょびと頻繁に雪が降る。

 職場の駐車場からTCF Bank Stadiumを撮影。
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 帰宅時の外気温、華氏16度。あんまり寒くは無いがそれでも摂氏-8.8度である。
 
 さて、今日のブログ記事のタイトル ”極寒バイカー” にふさわしい内容を今から書こう。

 バイカー biker 自転車乗り チャリだー である。

 まず、こちら。
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 華氏16度、雪の条件化で自転車に乗るたぶん学生さん。普通のジャケットに普通のパンツ、そして普通のスニーカー。ソックスをはいていなくて足首が露出。追い越し際に表情を確認したがかなり辛そうだった。お金に余裕があまり無い学生さんと見た。
 ここは一方通行3車線なのだが、彼は一番左の車線を走行している(ご存知のようにアメリカは右側通行である)。たぶん次の交差点で左折したいのだろう。そして、その後方にいるフォード社製トラックF150はバイカーからかなり距離を置いて信号待ちをしている。そう、これがアメリカ。バイカーを非常に大切にしている。と言うよりも、もしもバイカーに接触して怪我でも負わせたら賠償金で大変なことになるからな・・・・。


 次にこちら。
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 冬用ショーツに冬用のバイシクルジャケット、ヘルメットとそのインナー、背中のデイパックには赤く点滅するライトをつけている。これがミネソタ極寒バイカーの理想形か。しかし、冬用のウインタージャケットで対応できるのはせいぜい-4℃程度なのでインナーも冬用のものを着ているはず。そして、私は彼の後方にかなりの距離を置いて信号待ちをする。
 この後、上り坂なのだが、彼は15mph(時速24km)で豪快に登っていく。路面は雪が2cm積もっており、普通のMTBのタイアを装着していたので、当然滑ってはいるがうまくバランスを取りつつ適度なトラクションで登っていく。なかなか、クールですな。

 アメリカでは自転車は車と同じように走らないといけない。この道路の横にはとても広いバイク専用レーンがあるのだが、そこは除雪された雪で埋まっていて走行不可能。なので、上の写真のように車と同じところを走るわけだ。でも、ドライバーからしてもそれほどストレスは感じない。日本で走っている自転車はほとんどがママチャリで15km/h程度でたらたら走るのと、車道が狭いので追越が大変だが、アメリカではロードバイクかマウンテンバイクが主流で、日本の中高生のようにマナーが悪いことも無く、皆、かなりの速度で走ってくれるので自転車と車の共存がしやすい。そして、アメリカに住んでいると ”まあ、安全に追い越せるまでこのまま自転車の後ろをゆっくり走ろうか” と思えるのだった。そう、そのおおらかさが一番大切だと思う。

 さて、自転車大好きの私だが・・・・・・・、ごらんのように車通勤・・・・・・なのだ・・・・・・。