GW開けでHRが絶好調、そして憂い

 5月7日、曇り

 さて、今日から通常業務に戻ります。

 長かったゴールデンウィーク

 結局、病院に行かなかった日が無かった・・・。

 そう、本当の意味での休暇は一日も無かった。

 緊急手術が数件このゴールデンウィーク中もあったのだが、幸いな事に他の外科医達が対応してくれたので、私は病棟回診業務と当直業務をするだけで、それ以外は家族と有意義な時間を過ごす事が出来た。

 皆さんお疲れさまでした。


 さて、休日は車で出勤していた(”休日に出勤”ってのが笑えてくるが)ので脚の筋肉痛はすっかり消失し、今日は非常に調子が良かった。

 わずかに追い風。

 40km/hで巡航する。

 最高に気持ちが良い。

 そして今更ながらに思う。神戸のドライバーのマナーは非常に良い。焦ってないというか、理性的というか、自己責任をわきまえているというか。全く身の危険を感じさせる事なく私を追い越してくれる。


 ハートレートモニター(心拍数計)をつけてロードバイクに乗っていると分かる事がある。

 それはHR(heart rate、心拍数)がその時の体調を客観的に示してくれるという事。

 例えば、体が疲れて調子が悪いとロードバイクをこいでいてもしんどくてHRが160bpmをなかなか超さない。

 一方、今日のように体調が良いと、気がついたらHRが170bpmを超えている。


 心身ともに整っている。

 手術を終えて帰宅する。

 普段は10km/h前後でよたよたしながら登る激坂を14km/h、HR170bpmオーバーでしっかりと登れた。

 確実にこの体はヒルクライマーとして発達を遂げている。あの激坂を20km/hで昇れる日がいつか来るんじゃないかという思いがなんだか真実みを帯びて来た。そう、意地でもあの坂を20km/h以上の速度で登ってやる!!! 今日、そう心に決めた。


 さて、話は変わる。

 昨日から木村政彦といふ人物の事を調べ続けていた。

 史上最強の柔道家木村政彦

 ”負けたら腹を切る”
 ”木村の精神力の強さには定評があるが、その最たるものとして「負けたら腹を切る」がある。試合前夜には短刀で切腹の練習をしてから試合に臨んだとされ、決死の覚悟で勝負に挑んだという。最終的に15年間無敗でプロに転向したため、切腹は免れた。”

 実際に短刀で腹部の皮膚を自ら切り込み、死の恐怖を克服し、決死の覚悟で戦う事を実践した。

 そして結核に罹患した妻を救うため、超高額のストレプトマイシンが必要となった。木村は決断する。その費用を捻出する為に、柔道家の道を離れ、プロの道を進む。


 時代を感じる。

 今の時代、結核にかかっても公費負担があり、”入院を勧告された方の医療費については,公費等により,原則全額が負担されます。ただし,所得税額によっては自己負担が生じる場合もあります。” てな感じで自己負担は軽微。

 それでも数千円や数万円の自己負担が発生して文句をたれるやからがいるのが今の日本。

 かつては死の病であった結核も今やコンビニ感覚で治してもらえて当然の病になったのか・・・。

 こんな堕落しきった今の日本には木村のような鬼の柔道家は育たないんだろうな・・・、って思うと寂しくなってくる。


 やはり思う。

 この高福祉、高度医療、超低負担の今の日本の社会保障は間違っていると。

 日本国民は個人差はあれど、そのすべてが堕落し、少子高齢化、高福祉国家がこの国を根から腐らせ亡国へとすすむ。

 まさに福祉国家亡国論である。

 ”社会保障の拡充が国民の消費を即し経済は活性化し国家は安定する” なんてのは大間違いだよ。

 今の日本、命の価値があまりに安い。